京都観桜編(9):京都御苑~本法寺(08.3)

 御所にそって北上し今出川通りに抜けようとすると、児童公園の東方が艶かしく薄桃色に輝き、人だかりがしています。するとそこには、ここを先途と咲き誇る一群の枝垂れ桜がありました。枝々から惜しげもなく泉のように咲きこぼれる花、花、花。お見事! 解説板によると、このあたりは近衛邸のあったところで、昔から糸桜(枝垂れ桜)の名所、人呼んで「近衛の糸桜」というそうです。あの攘夷にこりかたまった孝明天皇も「昔より名にはきけども今日みればむへめかれせぬ糸さくらかな」と詠んだそうな。命をほとばしらせる瀧のようなその凄さにしばし見呆けてしまいました。うん、今回の観桜編で、最高の見ものでした。激写、近写、遠写、そして必殺技「高価そうな三脚で撮影している人の背後から撮ると良い写真になるよ固め」をくりだしながら、時がたつのを忘れてしまいました。
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 とは言ってもまだまだ先があります。後ろ髪を引かれながらも出発、(たぶん)日本最大級の御所の鬼門を撮影し、今出川通りへ出て、相国寺を抜けて、次なる目的地・本法寺へと向かいましょう。途中に「千利休居士遺蹟 不審庵」という碑がありました。
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 寺門をくぐると、多宝塔をバックに桜の巨木がほぼ満開。なかなかピクチャレスクな風景です。なおこちらは1436(永享8)年に日親上人により創建された日蓮宗の寺で、本阿弥家の菩提寺でもあります。京都の町衆と日蓮宗の深い関わりを思い出しました。
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 庭園「三巴の庭」は、本阿弥光悦の手による唯一のものだとか。細長い長方形の石で縁どった池が珍しいですね。彼お得意の、螺鈿細工の技法を応用したのでしょうか。光悦寺のような光悦垣(または臥牛垣)もちゃんとありました。
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 また長谷川等伯が六十一歳で描いた巨大な仏涅槃図(9.45m×5.94m!)を見ることもできました。斬新な表現ではないのですが、その迫力には圧倒されます。なお本作と、東福寺の明兆作、大徳寺の狩野松栄作をあわせて、三大涅槃と称するそうな。そうそう、空を見上げる等伯の銅像も本堂前にありました。彼は日蓮宗の熱心な信者で、七尾から上洛するとここ本法寺を宿坊にして、その活動の第一歩をはじめたそうです。己の力を京でためしてやるぞという彼の気迫が伝わってくる、なかなかよい像ですね。また本阿弥光悦手植えの松もありました。
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 本日の七枚、上の五枚が近衛の糸桜、下の二枚が本法寺の桜です。
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by sabasaba13 | 2008-12-28 08:11 | 京都 | Comments(0)
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