アイルランド編(8):ダブリン(08.8)

 降りしきる雨の中、塒のホテルを撮影し、ふりむくと眼前にぼんやりと浮かぶのがドーリア式の柱とドームが印象的な税関です。(1791年完成) しかし1800年に合邦法(アクト・オブ・ユニオン)が可決され、徴税も税関業務もロンドンに移されることになり、完成後わずか9年でその役割を失い放置されてしまいました。現在ではアイルランド政府の事務所となっており、また内部も公開されているそうですが、時間もないので見学はカット。なお、夜にライト・アップされた姿をリフィ川の対岸から眺めるとまことに美しいそうですが、いかんせん緯度が高いため暗くなるのは午後十時過ぎ、見物は諦めました。
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 その西側、鉄道高架線の下に足を踏ん張って力強く屹立するジェイムズ・コノリーの銅像がありました。ジェームズ・コノリー(1868~1916)は労働組合運動を通じて社会主義者となり、1913年にアイルランド市民軍を設立してイギリスからの独立運動に加わります。そして1916年、ピアースらとイースター蜂起に立ち上がり、司令部(中央郵便局)で行動します。結局、この蜂起は失敗しますが、彼が捕らえられた時にはもはや歩くこともできないほどの戦傷を負っていました。同年5月12日、キルメイナム刑務所で処刑にされましたが、もはや立つことも出来なくなっていたため、椅子に腰掛けさせられたまま銃殺されたそうです。英国のその手口はアイルランド人の反英感情をかきたて、独立運動を加速させることになります。その偉業を讃えて駅の名称となったのですね。ちなみに南にある次の駅はピアース駅です。
 その前にあるビルが、ダブリンで一番高い16階建て(!)のリバティ・ホール。かつてのアイルランド運輸一般労働組合の本部だったそうです。コノリー像がこの前につくられたのはそのためでしょう。何でも近々取り壊されてリニューアルされるとか。Butt橋を渡り、リフィ川ぞいのバー・キーという道を少し西へと歩き、トリニティ・カレッジをめざします。なおダブリンでは川ぞいの道をキー(Quay)と呼ぶようですね。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2009-03-07 16:18 | 海外 | Comments(2)
Commented by ETCマンツーマン英会話 at 2013-11-08 21:24 x
ジェームス・コノリーを調べていてこちらに辿りつきました。映画『The Wind That Shakes the Barley』の中で彼のスピーチの一説が紹介されていたのがきっかけです。

「もはや立つことも出来なくなっていたため、椅子に腰掛けさせられたまま銃殺」

映画『マイケルコリンズ』はまさにこのイースター蜂起が失敗したシーンから始まっていました。

こんな銅像があるのですね。少しだけダブリンを旅したような気持ちにになりました。感謝です。
Commented by sabasaba13 at 2013-11-10 16:48
 こんにちは、ETCマンツーマン英会話さん。こちらこそ貴重な情報を教示していただき感謝しております。『The Wind That Shakes the Barley』、邦題は『麦の穂をゆらす風』、アイルランド独立闘争を描いたケン・ローチ監督の映画があったのですね。寡聞にして知りませんでした。彼の作品なら間違いなく面白いでしょう、今度ぜひ入手して見てみたいと思います。
 なお拙ブログで紹介してありますが、ダブリンのキルメイナム刑務所ではジェームズ・コノリーが収監されていた房と、彼が処刑された場所を見学することができました。よろしければご覧ください。http://sabasaba13.exblog.jp/11712865
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