アイルランド編(18):デイビー・バーンズ(08.8)

 午後六時をまわったのに、いっこうに暗くなりません。が、腹はへるものです。アイリッシュ・ブレックファストをしこたま食べたので、結局昼食をとる必要はありませんでしたが、さすがに腹の虫が"hallelujah"と大合唱をはじめました。実は夕食をとる店はすでに心に決めてあります、それは「デイビー・バーンズ(Davy Byrnes)」。ジェイムズ・ジョイス行きつけのパブ、そして『ユリシーズ』の中で主人公レオポルド・ブルームがゴルゴンゾーラとマスタード・サンドイッチと一杯のバーガンディを飲んだパブです。ダブリン城から街角を眺めながら東へと歩き、繁華なグラフトン通りの東側にある路地に入るとすぐに見つかりました。間口は小さな店ですが、中に入るとけっこう奥行きがあります。カウンター席は満席、幸い奥にあるテーブル席が空いていました。店内はアール・デコ調の洒落た装飾です。
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 まず飲み物のオーダーは、そう、これを飲むためにアイルランドに来たのさっ、ギネス! そして料理はアイリッシュ・シチューを注文。そして数分後にStoutがご来臨しました。震える手をなだめすかし、1パイントのグラスを唇につけると、クリームのような肌理の細かい泡が粘膜を優しく愛撫します。おおくるしゅうないぞちこうよれ、グラスを傾けると、泡を引き裂き苦味とコクを兼ね備えた黒い液体が喉を、そして胃をキック。嗚呼、愛蘭土に来てよかったあ… 山ノ神は、半パイント・グラスを注文、酒には弱い彼女も絶賛の味でした。アイリッシュ・シチューも、野菜をたっぷり煮込んだ素朴な味付けのもの。美味しゅうございました。食事代の支払いはけっこう気を使うものですが、今回の旅行では、高額のお釣りはもらい小額のお釣りはチップとし、特段に意識してチップを渡すということはしませんでした。これで特に問題はないと思います。なおアイルランドでは公共の場はすべて禁煙、パブも例外ではありません。店も律儀にこのルールを守り、客は煙草を吸いたくなると入口の外に出て、すぐそこに必ず置いてある灰皿のところでプカプカと煙をはいていました。
 午後七時を過ぎてもまだ日は暮れません。食後の散歩として、リフィ川に沿って西のヒューストン駅まで歩いていくことにしました。明後日にこの駅から列車に乗ってキラーニーへと移動する予定なので、できれば指定席を押さえておきたいということもあります。デイビー・バーンズを出てグラフトン通りを北へと歩いていると、東側の歩道にブルームのプレートをまた発見。
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"He passed, dallying, the windows of Brown Thomas, silk mercers."
「彼はブラウン・トマス絹織物店のウィンドウの前をぶらぶらと歩いて行った」(Ⅰ8「ライストリュゴネス族」 p.406)
 対面にはブラウン・トマスという百貨店らしき店があったので、何か関係があるのでしょうか。

 本日の四枚です。コノサカズキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ
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by sabasaba13 | 2009-03-31 06:09 | 海外 | Comments(0)
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