本日は屋島近辺の散策です。まずはノテノテと走る姿がキュートなおもちゃのような琴平電鉄で八栗へ。タクシーでケーブルカー乗車駅まで行き、それに乗って八栗寺へと登ります。四国八十八ヵ所第85番札所です。お遍路バス・ツァーご一行様と同乗いたしました。巡礼も時代とともに様変わりしつつありますね。この寺は五剣山という魁偉/怪異な形の山の麓にあり、眺望がいいのかなと期待しましたがそうでもなくがっかり。
すぐに下界におりて、石の民俗資料館へ。実はこのあたりは庵治石(あじいし)という細粒黒雲母花崗岩の産地でして、そこらじゅうに石屋・石材屋が林立しております。石切り作業のジオラマなど興味深い展示が多かったのですが、さる事情のため十五分そこそこで切り上げ次の目的地へ。お土産にカンカン石を購入しようとしたのですが、その重さに三歩あゆめず断念。そうそう、この資料館展望台からの屋島の眺めが素晴らしい! 穴場ですぜ。溜池も散見できるので、「大人の社会科見学」フリークの方にもお勧め。 さてさて、さる事情とはイサム・ノグチ庭園美術館の集合時間が近づいていたのです。イサム・ノグチ(1904~88)。アメリカの現代彫刻家。英文学者で詩人の野口米次郎と、作家レオニー・ギルモアとの間に生まれ、少年期は日本で育つ。渡米した後、彫刻家 を志し、アジア・ヨーロッパを旅して見聞を広めた。パリでは彫刻家ブランクーシの助手をつとめる。ニューヨークに居を定め、肖像彫刻、舞台美術をへて環境彫刻やランドスケープ・デザインにまで幅広い活動を開始する。戦後は日本でも陶器作品や、和紙を使った「あかり」のデザインなどを行う。その後、アメリカ国内外の各地で、彫刻、モニュメント、環境設計を続け、文字通り「地球を彫刻した男」と呼ばれる。1988年12月30日ニューヨークで没。実は先日、講談社文庫におさめられているドウス昌代著の伝記を読んで以来、その数奇な生涯と作品に魅せられてしまいました。彼が庵治石と屋島・五剣山とこの地の石工の技術に惹かれて、ここ牟礼にアトリエをかまえ一年のうち数ヶ月を必ず過ごしたそうです。そして生前から自分の作品を展示する庭園美術館としても構想し、設計・作品の配置をてがけていました。そのアトリエ・作業場・住居・庭園・美術館が渾然一体となったものが、イサム・ノグチ庭園美術館です。開館は週に三日のみ、往復葉書で予約、見学は案内にしたがい一時間、入館料二千円ということで、本日の午前十時の来館を予約していたわけです。ワクワク。来館者は四名。受付で、著作権等はNYの財団が所有しているので写真撮影は禁止との説明を受けます。 話はそれますが、桂離宮も撮影禁止なのですね。その理由は「苔の保護のため撮影禁止」! 驚き桃の木山椒の木ブリキに狸に蓄音機、噴飯ものですね。まあ伊勢神宮も撮影禁止だし、天皇制と「隠す」という行為は切っても切れない関係にあるのは理解できますが… 興味深いのは英文にはそうした理由付けはありません。そりゃあこんな理由では納得しませんよね、外国の方は。「公」(poblicではなく、オオヤケ=大きな家=権力と富をもつ者)に命令されると、その根拠を深く考えず鵜呑みにしてしまうわれらが伝統文化を上手に利用しています。さすが宮内庁。閑話休題、それでは中に入りましょう。 本日の一枚は、梅と屋島です。
by sabasaba13
| 2005-03-16 09:04
| 四国
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Comments(4)
はじめまして!四国を色々と回られた様で!楽しめたでしょうか!
自分も仕事で中・四国は方々行きますが、楽しむ事はなかなか・・・・ うらやましー!! 写真と記事!楽しく拝見しました。 これからも、楽しみにちょくちょく覗かせていただきます。 それでは!!
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sabasaba13 at 2005-03-17 09:45
こんにちは。四国は十分に楽しめました。これで二度目なのですが、新しい発見の連続でした。コメントをいただいてまた行きたくなりました。特にうどんの味は、脱帽ものです。耳よりな四国情報がありましたら、ぜひ教えてください。それでは。
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chiori66 at 2005-03-19 08:03
トラックバックありがとうございます。
イサムノグチ庭園美術館、よかったですねぇ。思いのほか小さかった印象ですが、きゅっと凝縮された魅力的な環境でした。 特にイサム家の裏山のたおやかなライン、てっぺんから見えるのんびりした風景、印象的です。 それにしても写真を撮ると傷む苔とは…まさかカメラに魂抜かれるからでしょうかねー?(笑)
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sabasaba13 at 2005-03-19 17:36
こんにちは。ほんとにおっしゃるとおりです。できるだけ多くの人に訪れて欲しい美術館ですね。写真で傷む苔、新種なのでしょうか。あるいはシャッター音が悪影響を及ぼすのかもしれません。ぜひ宮内庁職員の方のコメントをいただきたいです。(呆)
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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