紀伊編(17):黒江(08.9)

 やってきた列車に乗り込み、30分ほどで本日の最終訪問地・黒江の最寄り駅である海南駅に到着です。幸いなるかな、駅で自転車を貸してくれるそうです。さっそく拝借して観光地図をいただき、さあ出発。ここ黒江は漆器の町です。1585 (天正13)年、豊臣秀吉の兵火にあった根来寺(ねごろじ)の僧徒が伝えた根来塗より派生したといわれますが確かでないようです。江戸時代には紀州藩の保護を受けて、地場産業として漆器づくりが栄えました。海南駅から自転車で十数分走り城山トンネルを抜けると、山あいに佇む小宇宙・黒江に到着です。目抜き通りは、火の見櫓が屹立する川端通りで、うだつのある大きな商家もありました。なおこの通りはかつて水路となっており、原料や漆器の積み下ろしに利用されていましたが、昭和の初めに暗渠となったそうです。
c0051620_6133891.jpg

 裏の路地にはのこぎりの歯状の家並みが多く残されています。これは漆器職人の住宅兼作業場の用地として埋め立てられたためだそうです。家と道の間にできる三角形の地には青石が敷き詰められているところもあります。時代をおびたしぶい木造和風建築に連子格子窓、家の前に並ぶ植木鉢、井戸端会議をしているおかみさんたち、路地を風のように駆け抜ける幼子たち、まるで故郷に戻ってきたようなとても懐かしい気持ちになりました。明り取りのためにのこぎり型をした屋根の煉瓦造り町工場も発見、これは珍しい物件ですね。
c0051620_614574.jpg

 町外れ、山の中腹にある浄国寺(真宗本願寺派)からは家並みを一望できそう、さっそく長い石段を上っていきました。予想通り、山々の懐で互いに抱きあうように静かに犇めく甍の波を眺めることができました。高層建築がいかに景観を乱離粉灰してしまうか、よくわかります。そして造り酒屋の「黒牛茶屋」の重厚な建物を拝見して、さあ駅へと戻りましょう。もう日没、火の見櫓の上空では残照に輝く茜雲がたゆたっておりました。西御坊や湯浅のように心ときめくディテールはありませんが、心の隙間を埋めてくれるような落ち着いた佳い町でした。
c0051620_6143058.jpg

海南から和歌山までは15分弱、今晩の夕食は駅近くの「井出商店」で中華そばをいただきましょう。とろみのある濃厚な醤油味は「くどさ」の半歩手前で見事にとどまっています。サイドメニューの早すしとゆで卵もいただいて、胃の腑も満足そうです。
c0051620_6145373.jpg

 駅前の商店街を歩いていると「シューズショップ バルタン」を発見。いやはや紀伊人の命名のセンスには恐れ入谷の鬼子母神です。駅裏の予備校には無数の自転車が所狭しと駐輪してあります。受験生のみなさん、ぜひ学力=騙されない力を身につけてください。たぶんそこでは教えてくれないと思いますが。
c0051620_6151754.jpg


 本日の四枚です。
c0051620_6155812.jpg

c0051620_6161815.jpg

c0051620_6163740.jpg

c0051620_6165678.jpg

by sabasaba13 | 2009-07-21 06:17 | 近畿 | Comments(0)
<< 紀伊編(18):加太(08.9) 紀伊編(16):湯浅(08.9) >>