紀伊編(20):友ヶ島へ(08.9)

 そして海岸と並行して、木造家屋が肩を寄せ合うようにして連なる町並みへと入っていきます。狭い路地からは光る海が垣間見え、漁師町の風情を感じさせてくれます。本格的な本瓦葺き屋根をいただく家屋も何軒か見かけました。ある商店のガラス戸には「入口の戸をきっちりしめて下さい。猫が入って困ります」という貼り紙。猫が元気だということは、漁村としての息吹がまだあるということでしょう。
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 役行者堂へと上る石段の前を通りしばらく歩くと登録有形文化財「吾妻屋 旧本館」の巨躯が見えてきます。解説板によると、1933(昭和8)年に竣工された団体客向けの大きな旅館で、二階大広間は柱のない百畳敷きだそうです。内部の見学は不可。
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 すぐ目の前が淡嶋神社ですが、時刻は8:50、そろそろ港に行ったほうがよいでしょう。地図を見ると、やばっ、友ヶ島行発着所からちょっと遠方まで来てしまいました。あわてて海岸沿いの広い車道に出て駆け足で戻りました。加太大橋の左手下方に船着場が見えましたが、そこまで下りる道が見当たらない… 9:00発の船に乗り遅れたら、以後の旅程は壊滅的な打撃を受けてしまいます。残された時間は五分、せんかたなし、生い茂った草をかきわけながら土手を下りると、駐車場のゲートがありました。しかし錠がかかっていて開かず、足場がないので乗り越えられそうもありません。万事休すか、門扉を握り締めながらアンジェイ・ワイダ監督「地下水道」の一場面のようだな、などと暢気にかまえていたら左手の方に越えられそうな塀がありました。うしっ、草をかきわけて移動し塀を乗り越え橋の下をくぐって船着場へとダッシュ、かろうじて乗船することができました。「もういやっこんな生活」と小松政男氏のように叫びたいところですが、自業自得ですね。
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 船はほぼ満員、このあたりは釣りのメッカだそうで、ほとんどの方が太公望です。残りはハイキング目当ての家族連れやカップルと山伏… やまぶしい!? 幻覚かと思い目をこすりましたが、たしかに山伏姿の若い二人連れが前方におります。島の観光案内所でもらったパンフレットによると、修験道の始祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が葛城山に行く前にこの島に立寄ったそうで、葛城修験道二十八宿の第一宿が置かれ、島内には観念屈・閼伽井碑など修験道に関する史跡・行場があるとのことです。なるほどねえ。
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 釣り船が点々と浮かぶ静かな湾を船は進み、20分ほどで友ヶ島に到着です。なお沖ノ島・地ノ島・虎島・神島を総称して友ヶ島と呼び、これから上陸するのは沖ノ島に該当します。加太に戻る船は11:30発なので二時間ほど滞在ができます。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2009-07-28 06:12 | 近畿 | Comments(2)
Commented by おやすみネコ at 2009-07-28 06:48 x
凄い凄い!感動しました。
Commented by sabasaba13 at 2009-07-28 21:37
 こんばんは、身に余る礼賛、どうもありがとうございます。
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