近江錦秋編(5):西明寺~延命公園(08.11)

 湖東三山紅葉狩りの掉尾を飾る西明寺へは、金剛輪寺から十分もかかりません。こちらは天台宗のお寺さんで、834(承和1)年に仁明天皇の勅願によって開創されたそうです。盛時には三百あまりもの僧坊がありましたが、織田信長が比叡山を焼打ちした直後に、こちらも焼打ちにしてしまいました。てことは、信長は比叡山に加えて湖東三山すべてを焼打ちしたわけだ… あらためて、自らの権力を脅かす存在としての寺社勢力に対する警戒心と、それを断固として徹底的に叩き潰す恐るべき意志と実行力には驚かされます。伊藤正敏氏が「寺社勢力の中世」(ちくま新書734)の中で鋭く指摘されているように、国家から大きくはみ出した人々をまるごと受け止めて生産・流通から軍需産業まで含む中世の経済を担い支え牛耳った中世寺社勢力は、宗教で説明するよりも経済体として捉えるべきなのでしょう。そう考えると、信長にとって不倶戴天の敵であったことがよく理解できます。この湖東三山もかつては、殷賑を極めた無縁所=寺社=都市だったのでしょう。
 さてそれでは西明寺境内に入りますか。苔むす所で「この苔は西明寺が大好きです 大事にしましょう」という立て札を発見。半畳を入れると、私が苔だったら金剛輪寺に根付きたいな。
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 二天門、本堂、三重塔は戦火を免れて往時のまま現存、いずれも国宝に指定されています。塔を優しく包み込むような紅葉がピクチャレスクですね。なおこの三重塔は鎌倉時代後期建立、飛騨の匠が釘を一本も使用しないで建てた総桧の塔で、一層には一面に巨勢派の極彩色による絵が画いてあるとのことです。
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 名勝庭園は、江戸時代初期の池泉観賞式の庭園で、「蓬莱庭」と名付けられています。山の傾斜などを巧みに生かした庭園で、このあたりの紅葉が一番見事でした。
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 そしてタクシーに戻り、八日市駅の裏手にある延命公園へと向かってもらいました。車窓から近江盆地の冬景色と、その向うに連なる鈴鹿山脈の景色を楽しんでいると、三十分弱で公園の入口に到着です。
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 タクシーの運転手さんに丁重にお礼を言い料金を支払って、ここでお別れです。お代は約二万円、かなり高くつきましたが、渋滞の中レンタカーで右往左往するよりは適切な選択だったと思います。さて小高い山を利用して山裾につくられているのがこの延命公園、残念ながら紅葉の見頃は過ぎていましたが、それでも綺麗に色づいている楓を何本か見ることができました。たくさんの楓が生えている静謐な雰囲気の公園ですね、ここはかなりの穴場かもしれませぬ。八日市の町並みや近江盆地を一望できるビュー・ポイントもありました。「野生の猿 出没注意」という立て看板にはちょいと腰が引けましたが。
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 本日の四枚、上の三枚が西明寺、下の一枚が延命公園です。
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by sabasaba13 | 2009-09-29 06:19 | 近畿 | Comments(0)
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