大阪編(5):大阪市環境事業局舞洲工場(05.3)

 いよいよ最終日です。まずは徒歩で此花大橋を渡り、大阪市環境事業局舞洲工場、早い話がゴミ焼却場を訪問しましょう。この建物はフリーデンシュライヒ・フンデルトヴァッサー(1928~2000)というオーストリアの画家・建築家が設計した物件。カラフルな色彩、奇抜なデザイン、そして微妙にうねる曲線を多用した見事な建築です。以前にウィーンで、やはり彼が設計したシュピッテラウ焼却場や市営住宅を見て感銘を受け、ずっと気にしているアーティストです。
c0051620_1629124.jpg

 1938年、彼が10歳の時、オーストリアはナチスドイツによって併合されてしまいます。ユダヤ人であった母方の親戚は、74人のうち69人までが、強制収容所のガス室に送られて殺されてしまいました。そうしたなか母親は、息子をヒトラーの少年親衛隊に加入させます。それは、ユダヤ系の母親が、息子を守るために取った苦肉の策でした。他人からあてがわれた、直線的な教育や生き方。そこには行動の自由も、思想の自由もない。有るのはまやかしと、悲劇だけ。「直線は胸に抱くな!」 彼はまるで、失われた青春時代を取り戻すかのように、直線を敵視したのですね。衣服も住居も、人間を包む皮膚として考えた彼は、そこに自由がなくてはならず、それ自体が病んではならないと、強く主張していました。そして彼にとって、更にそれらを包む二つの皮膚がありました。第四の皮膚は社会環境。そして第五の皮膚は、地球環境です。社会は人間を拘束してはいけない、そして地球環境を、ないがしろにしてはならない。彼は常にそう訴えたのですね。彼の言葉です。
束縛されるな、追随するな、定規で引いたものには不信を。直線は胸に抱くな、自由であれ、そうすれば何者にも脅かされぬであろう
 直線を嫌う彼はパーキングの枠線や地面さえも微妙にうねらせています。煙突の根元付近はモコモコとあちこちが盛り上がり、まるで木の根道を歩いているよう。塀も道も階段もウネウネウネウネウネ… 眩暈を感じながら浮遊してしてしまいます。色とりどりのタイルで覆われた柱が林立し、森を思わせます。建物のあちこちに樹が植えられ、剃り残した髭のように窓から飛び出ているのもユニークです。
c0051620_16293310.jpg

 少し離れた所に、やはり彼の設計によるスレッジ・センター(汚泥処理場)がありました。
c0051620_1630549.jpg

 一階に展示があり、彼の言葉が記されています。
通常巨大な工業用建物というものは、最も危険な環境汚染である視覚的公害をもたらすものです。何故なら、それは人の魂を滅ぼすものだからです。従って、スラッジセンターにおいては、直線や画一性、非情な冷たさ、無感動で心無き残酷性、審美の欠如、不毛な画一性、不能な創造性などによって生ずる視覚的公害を取り除くためのデザインがなされています。
 この建物を美しいと思うかどうかは意見が分かれるでしょうが、少なくとも私は楽しい! ただ見学が随時できないのは、何として下さい。(10日前までに予約+一日三回+時間指定) たまたま見かけてギョッとしてフラッと入りたくなる人もいると思いますよ。氏もそれを望んでいるのではないかな。ま、ともかくこうした税金の使い方は、いくつかの留保をつけた上で基本的に賛成です。大阪市の見識と英断には敬意を表します。至福と恍惚の時間を過ごし、上松食堂で焼きうどんを食し、いざUSJへ。なお、大阪にはフンデルトヴァッサーが内装をデザインした「キッズプラザ大阪」という施設もあるとのこと。ここもいつか行って見たいな。
●キッズプラザ大阪  http://www.kidsplaza.or.jp/

 本日の一枚は、大阪環境事業局舞洲工場の全景です。
c0051620_16303237.jpg

by sabasaba13 | 2005-03-25 06:23 | 近畿 | Comments(0)
<< 大阪編(6):USJ(05.3) 兵庫編(4):姫路城~有馬温泉... >>