御岳渓谷・青梅編(2):御岳渓谷(08.11)

 そして御岳小橋を渡って対岸へと行きました。さきほど駅でいただいた「みたけ歩楽里道(ぶらりどう)1周年記念MAP」によると、線路の上部を並行して建ち並ぶ山裾の集落に、昔の水場や玉堂の旧居があるそうです。ま、せっかくですから、ぶらぶらと逍遥してみましょう。地図を片手にしばらくさがしていると、ありましたありました。道路端に自然石を組んでつくった竈のような物件で、四角く開けられた開口部から中をのぞくと水が満ち、数匹の鯉が泳いでいます。湧水を利用したものなのでしょう、かつてここに集い洗い物をしながら世間話に興じていた人々の姿が浮かんでくるようです。その先にある路地の突き当たりが神明社、イチョウの落ち葉が境内を黄金色に染め上げていました。
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 そしてもうすこし道沿いに歩いていくと立派な屋敷門があり、そこから中を覗き込むと古い日本家屋がありましたが、こちらが玉堂の旧居ですね。往時は萱葺だったのでしょうが、現在はトタン屋根となっています。材料の入手が困難、人手不足、技術が相伝されなくなった、といった時代の趨勢なのでしょう、惜しいけれど。なお住居となっているため、内部の見学はできません。
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 跨線橋を渡り、多摩川に向かって集落の中を歩いていると蔵をよく見かけます。山の幸の集散地、あるいは江戸の大火に伴う復興用木材の供給地として栄えた面影を感じました。明治時代まで多摩川の筏流しも盛んであったそうですね。
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 そしてある路地にふと目をやると野良猫がわんさかわんさと集まっています。自称・他称好きの私としては見逃せない、カメラを片手に抜き足差し足忍び足、近づいていきました。
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 するとある家の少女が庭先で餌をあげているところでした。目が合った瞬間、二人の間に電束電流が走り、恋に…は落ちませんでしたが、お互いすぐに分かりました。「猫が好きなのね/なのですね」 少女は嫣然と微笑みながら宮沢賢治の童話に出てきそうな一匹の野良猫(どんな猫だ)を抱きかかえ、天使のような声で一言。「写真を撮りますか」 私も莞爾として微笑み返し、入魂の一枚を撮影。そして丁重にお礼を言い、少女や猫と別れました。嗚呼、あんな素敵な少女…じゃなくて猫と出会えただけでも、御岳に来た甲斐があったというものです。素晴らしき哉、人生。
 そして杣の小橋を渡って対岸へ。川沿いにつくられた遊歩道をのんびりと歩き、御岳橋の下をくぐり玉堂美術館の前を再び通り過ぎ、御岳小橋を渡って下流へと歩いていきましょう。紅葉の見ごろは過ぎていましたが、まだ色づいている楓や木々もけっこうありました。清冽な川の気、凛冽な山の気を胸に満たし、両手を振って歩いているとほんとに幸せ。元気に歩ける体と自然を楽しめる眼を授けてくださったすべての関係者に衷心から感謝したいと思います。また川沿いにつくられたこの遊歩道もいいですね。地形に合わせてゆるやかにうねり、視界と歩くリズムに変化を与えてくれます。すれちがう人もみな楽しそうな表情でした。
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 本日の五枚です。
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by sabasaba13 | 2009-11-18 06:12 | 東京 | Comments(0)
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