土佐・阿波編(31):脇町(09.3)

 そして南のほうへと路地を抜けると、長大な堤防があり、滔々と流れる吉野川、その向こうの連山、そして舞中島潜水橋を一望できる素晴らしい眺望です。菜の花ごしに潜水橋を撮影して、ふたたび町なかへと戻りましょう。
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 町の南側にある細い流れは藍商人たちが利用していた舟着場の名残、かつては人夫たちが荷を担いで舟積みの作業をしていたところです。このあたりから家並みを見ると、高い石垣の上に建てられているのがよくわかります。往時の吉野川の高水位を物語る証人ですね。
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 そして大谷川ぞいに上流へ十分ほど歩くと、デ・レーケの堰堤に到着です。明治初期にお雇い外国人としてオランダから招かれ、内務省土木局に所属して治水授業の指導にあたった方だそうです。武田信玄、角倉了以、河村瑞軒らも解決できなかった土砂による河床の上昇、そして氾濫という難題に真っ向から立ち向かい設計した砂防ダムがここ大谷川に残されています。
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 そして川の東側にそって町なかへ戻ると、楼閣のあるお宅と、「売らないぞわたしの一票わたしの心」という標語を発見。その意気やよし。
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 途中にあるのが小さな色ガラスがいくつもはめられた三連アーチ窓が印象的な脇町劇場(オデオン座)。1934(昭和9)年にオープンした劇場で、老朽化が激しく取り壊しも検討されましたが、山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」の舞台・オデオン座として一躍脚光を浴びたことを機に、町が改修復元し現在でも使用されています。有料で内部を見学でき、回り舞台・桟敷・大向こう・楽屋・奈落などを見ることができました。
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 そしてバスに乗って穴吹駅へ、ここから再び徳島線に乗って十分ちょっとで貞光(さだみつ)に到着です。ここは全国的にも珍しい二層構造のうだつが建ち並ぶ古い町並みがあるそうです。古くから商業の町として栄えてきた貞光は、江戸時代に葉たばこの産地として繁栄し、商人たちは、その隆盛ぶりを重厚な二層うだつをあげることによって競い合ったとのこと。ガイドブックによるとレトロな映画館「貞光劇場」もあるということなのでこれも楽しみです。いちおう帰りの列車の発車時刻を確認しておこうと駅舎内の壁を見上げると、「あいうえおじゅんうんちんひょう」という全てひらがなで書かれた運賃表が掲示してありました。識字率が低いのか、外国人居住者が多いのか、これは謎です。
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 駅前に出ると、「見られて燃えた姉夫婦」「萌え痴女またがりハメ放題」という貞光劇場の映画ポスターが堂々あっけらかんと貼ってありました。なんか、この町が好きになりそうです。線路ぞいに東へ少し歩くと、噂の貞光劇場がありました。楕円形のアーチ、青く塗られた下見板がなかなかキュートは物件で、できた当時はさぞ話題になってでしょう。映画が娯楽の殿堂であった熱い時代の息吹を感じます。今、調べてみたところ、開業は1932(昭和7)年、それ以来ずっと上映を続けている全国屈指の古い映画館だそうです。館主の藤本さんがひとりできりもりしており、最近では安くフィルムが借りられる成人映画が中心ですが、それでもほとんど儲けはないとのこと。でも藤本さんは観客が一人でも映写機をまわすと、意気軒昂です。胸が熱く、そして痛くなるお話ですね。でもいつかきっと、町が活気をとりもどし、みんなで感動や喜びを共有できる場が必要となる時がやってきます。その日までお元気で、藤本さん。
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 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2010-02-04 06:26 | 四国 | Comments(0)
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