松本・上高地編(2):青鬼の棚田(09.5)

 駅前では常に数台のタクシーが客待ちをしているようで、タクシーをつかまえる苦労はないでしょう。さっそく乗り込み、運転手さんに行き先を告げました。糸魚川街道(国道148号線)を北へ走ると、「鬼無里(きなさ)」という道路標識が眼に入ってきます。青鬼といい、このあたりには昔鬼がよく現われたのですかと運転手さんに訊ねると、氏曰く、越後近辺に漂着しこのあたりに住み着いたロシア人が、"鬼"と見なされたそうです。眉唾ですが、あり得ない話ではないですね。そして右折して数分ほど舗装された山道をのぼると青鬼(あおに)集落に到着です。入口にある小さな駐車スペースまでしか車は入れないので、ここでタクシーに待っていてもらい徒歩で棚田に向かいます。異様に丈の高い消火栓が、このあたりの雪深さを物語っていました。
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 なおこの青鬼集落は伝統的建造物群保存地区に指定され、大きな寄棟の屋根にちょこんと小さな屋根が乗っかっている古い民家が十数軒建ち並んでいます。屋根はトタンでおおわれていますが、かつては萱葺だったのでしょう。火難除けに「水」と書いてあるお宅もありました。今、調べてみたところ、「かぶと造り」という様式で、屋根裏で行なう養蚕のために採光や換気を取り入れる工夫だそうです。青鬼神社へと続く石段の前には、スキーのポールが何本も用意されていました。信仰心の厚さと高齢化の進行を感じます。
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 そして小さな集落を抜けると、もうそこが棚田となっていました。逸る気持ちをおさえて、坂道をゆっくりとのぼり、振り返ると… 絶句… その美しい光景に眼と心を奪われ、しばらく立ち竦んでしまいました。残雪をいただく白馬の峯々、さまざまな色合いで滴るように輝く新緑、そしてそれらを鏡のように映し出す水を張った棚田(一部では田植えが終わっていました)。来てよかった、見られてよかった、神さんありがとう、と幸せな気持ちで充たされました。多くのカメラマンでごったがえしているかと思いきや、数人見かけただけで、ゆったりと落ち着いて棚田を逍遥することができたのも僥倖でした。ま、これはたまたまなのかもしれませんが。このあたりでは代掻きおよび田植えが行なわれるのは五月中旬~下旬のようなので、この時期が狙い目かと推測します。
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 なお迂闊にして今気づいたのですが、村内地図を写した写真を見ていたら、「ガッタリ」と記されていました。たしか水力を利用して脱穀をする仕掛けですね、観光用に復元されたものとは思いますが見落としてしまいました。ま、次に来た時の楽しみとしてとっておきましょう。なお鹿児島仙巌園にもおそらく同様の仕掛けが展示されており、「迫(さこ)ン太郎」と呼ばれていたと記憶しています。地域ごとの呼称の変化を探究するとおもしろいかもしれません。

 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2010-02-19 06:13 | 中部 | Comments(0)
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