下館・益子編(5):下館(09.8)

 肉屋の「上野屋」には、「お肉屋さんの手作りメンチ」と「揚げたてあつあつハムカツ」という貼り紙がありました。揚げ物界の二大スーパースターが揃いぶみ、ここを素通りしたら人間ではありません、ようがすいただきましょう、と店に入ったらまだ準備中とのことでした。慙愧。店の脇には立派な盆提灯がぶら下げてありました。
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 以前にチェックした仕舞た屋映画館「シネマ1」が幽鬼の如く佇んでいるのを確認し、それでは真岡鐵道に乗って益子へと向かいましょう。駅前にあったお菓子屋に「ここは関東平野… みかもの月」という看板がありました。ここは関東平野、わかっとるわいそんなこと、とからむのも大人気ないので大人しくひきさがりましょう。それはさておき"みかもの月"とは何ぞや?
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 さっそく帰郷した後、インターネットで調べてみると、どうやら万葉集で歌われたこのあたりの山のようです。
下毛野(しもつけの)みかもの山の小楢如(の)す
目細(まぐは)し児ろは誰が笥(け)か持たむ   [巻14-3424 作者未詳]
 「下野のみかも山に生える小楢のように美しいあの娘は、誰の食器を持つのだろう(誰の妻になるのであろうか)という意味」だそうです。「みかもの山」は、栃木県下都賀郡藤岡町にある標高は229mの三毳山で、そのなだらかで流麗な姿は、万葉人の時代より人々の心を和ませてきたそうです。その山に出る月をもじったお菓子なのですね、はい、勉強になりました。といいたいところですが、この便利さとひきかえに多くのものを失ったような思いがあります。インターネットを手にする以前の私でしたら、図書館にあるさまざまな事典・辞書で「みかもの山」について調べ、なかったら考え(「み」とは美称であろうか等々)、それでもダメなら頭の引き出しに入れておいていつか分かる日まで待つ。調べ、考え、待つ、といった手間がかかるけれど大事な営みが、インターネットによって木端微塵に破砕されてしまったのではないかな。勿論、そのメリットを認めるのに吝かではありませんが。
 下館駅に入り、真岡鐵道のホームに行くと、幸いなるかな灰皿が設置してありました。Hallelujah ! 見知らぬ土地の見知らぬ駅で、二両編成の質朴なローカル線列車の出立を待ちながら、広漠とした空にむかって紫煙をくゆらす… 私にとって小さな至福の時間です。
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 なおこの真岡鐵道では、土・日・祝日にSLが走ります。以前に乗ったことがありますが、これは一乗の価値あり。さてそろそろ時間です、茂木行きの列車に乗り込み、車窓から田園風景をぼーっと眺めていると、四十分ほどで二本の悪趣味な塔が屹立する益子駅に到着です。
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by sabasaba13 | 2010-04-19 06:27 | 関東 | Comments(0)
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