下館・益子編(6):益子(09.8)

 この真岡鐵道が素晴らしいのは、駅で自転車を借りられることです。さっそく拝借し、駅前にある観光案内所で地図を入手、それではさっそく徘徊をはじめましょう。手ずから焼き物をつくるわけでもなく、また特別な素養もないのですが、窯場めぐりはけっこう好きです。これまでも、清水、備前、瀬戸、唐津、信楽、壺屋、伊賀、常滑有田笠間と経巡ってきましたが、独特の雰囲気と情緒を楽しめました。林立する煙突、陶片をはめこんだ土壁や道、職住一体の濃密なオーラ、職人たちの息遣い、いいものです。(なお「日本やきもの紀行」[とんぼの本 新潮社]がお薦め) 今回も益子に期待したのですが… 山口高志のコントロールのように外してしまいました。自転車でしばらく走ると、真新しい直線道路の両脇に、焼き物店が建ち並んでいますが、ただそれだけ。窯場の風情も、職人の息吹も感じられません。塵もゴミも、その地独自の匂いも、その地を愛する人々の思いも、何もない、郊外に突如つくられたショッピング・モールのようです。
c0051620_6275767.jpg

 その無機的な雰囲気の中を、年配女性の集団がまるで蝶のようにお土産を求めて飛び交っていました。ま、現地にやってきて、身銭を切って、自分のセンスと決断で好きな物を買うのですから、結構なことです。憶測ですが、現在の日本のGDPを相当部分で担っているのが、年配女性の購買力ではないでしょうか。ここでふと思い出したのが、つい最近読んだ「命の値段が高すぎる! -医療の貧困」(永田宏 ちくま新書792)という本です。メタボリック・シンドロームのいかがわしさについては、以前に「メタボの罠」(大櫛陽一 角川SSC新書002)の書評で紹介しましたが、どうしても腑に落ちなかったのが、基準となるウエスト周囲径の男女差です。男性が85cmで女性が90cm、女性の基準値の方が大きいのは日本だけ。何故? 永田氏はこう述べられています。
 食産業にとって、とりわけ外食産業や中食産業にとって、女性のほうが男性よりも断然上客である。しかも最大のターゲットは中高年女性と決まっている。…
 それだけではない。中高年女性は旅行好きである。温泉に泊まって美食を満喫し、観光しながら名物を食べ、しかもお土産として食料品を大量に購入し、現地に確実にお金を落としてくれる。
 彼女たちが食べ続けてくれるおかげで、日本のGDPの何パーセントかが保たれているのは間違いない。そのような理由から、女性の基準が大幅に緩められたと考えてみるのは不自然なことだろうか。(p.127~128)
 氏の推測ですがこれは鋭い。国民の健康など歯牙にもかけず屁とも思わず、己の業績アップと責任逃れしか眼中にない厚生労働省の官僚諸氏ならやりかねません。閑話休題。そろそろお腹がへってきたので、「壷々炉(こころ)」というレストランに入りました。チキンソテーを注文し、できあがりを待つ間、店内で販売しているいろいろな益子焼の器を物色。うーむいまひとつ心を魅かれないなあ。そしてなかなか美味しいチキンソテーをいただきましたが、もちろん器はすべて益子焼。
c0051620_6282832.jpg

by sabasaba13 | 2010-04-20 06:29 | 関東 | Comments(0)
<< 下館・益子編(7):益子陶芸美... 下館・益子編(5):下館(09.8) >>