下館・益子編(9):真岡(09.8)

 さてそれでは益子駅へと戻りますか。益子参考館近くの交差点には、「道祖土 Sayado」と記された信号がありました。道祖神=さえの神、共同体に害をなすものを遮る、という民間信仰と関係のある地名なのでしょうね。ここから駅までは、残像が残るぐらいペダルをぶんまわして約十分、無事に自転車を駅員さんに返却し、駅前に飾ってある大きな益子焼の壺を写真におさめていると列車が入線してきました。
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 次なる目的地は真岡(もおか)です。前回訪れた時に、フランク・ロイド・ライトの高弟、遠藤新が設計した講堂を見つけられなかったので、捲土重来、今度こそはこの眼で見てやろうと再訪する次第です。列車に乗り込み、右側の座席を陣取りました。なぜかって? 実は益子に来る途中で、車窓から横倒しになった火の見櫓を見かけたので、帰りにぜひ写真におさめようと心に決めていたのです。たしか西田井を過ぎたあたりだったなあ、凝視凝視凝視凝視、あったあ、カシャ。しかしどうしたことなのでしょう。暴風で倒れたのか、老朽化し危険なのであるいは邪魔なので撤去されたのか。ディスプレイで確認すると、それほど古い物件には見えません。やはり邪魔者扱いされたということなのでしょうか。無残に横たわる火の見櫓ははじめて見ましたが、これほど悲しい光景はちょっとありません。街のランドマークとして愛で保存する心のゆとりが失われているということの証左なのでしょうか。そして十数分で蒸気機関車風にデザインした真岡駅に到着しました。
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 その直前に、こちらに転車台があることに気づきました。あそこに乗った機関車がぐるんぐるんぐるんと廻るところを想像すると思わず笑みがこぼれてしまい童心に返る私です。これまでも京都梅小路蒸気機関車館、小樽交通記念館美濃太田駅(長良川鉄道)、茂木駅(真岡鐵道)、新山口駅(山陽本線)、水上駅(上越線)で出会いましたが、真岡にもいらっしゃったのですね。後でご挨拶に伺います。下車して駅で自転車を借り、以前に訪れた観光案内所に行ってみました。勢い込んで飛び込み、中にいた女性係員の方に尋ねようとした瞬間…名前を度忘れしてしまいました。嗚呼、もういい歳こいているのだから、備忘のためメモをしておくのだった、と悔やんでもAfter the carnival、やるっきゃない。裂帛の気合を込めて、しかし慇懃に、係りの方にお尋ねしました。「えーと、遠藤新が設計した建物を探しているのですが…」「?」「えーと、ライトの弟子なのですが…」「?」「戦前につくられた建物で…」「?」「白塗りの洋館で…」「?」「こちらの公民館として利用されているような気が…」「?」「何とか講堂とか言ったような」「ああ、久保講堂のことですか」 ビンゴ! ガシャン! 巨大な連環が、今、音をたててつながりました。市民会館・図書館などのある一帯のどこかだそうで、さっそく地図をもらい丁重にお礼を言って、いざ出発。
by sabasaba13 | 2010-04-26 06:26 | 関東 | Comments(0)
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