下館・益子編(13):下館(09.8)

 稲荷町通りと巽坂・大町通りの間にある路地を北へ歩いていくと、数々の怪しい物件に出会えました。拙い字で「ポスト」と書かれているダンボール箱、妄執のように駐車場を取り囲む水入りペットボトル、大正浪漫的な書体で書かれた「老田百貨店倉庫」、廃業した謎のお店「ミス・ユニバース」、下館名物お神輿最中、「ヤマサ醤油」のホーロー看板。
c0051620_7153835.jpg

 十分ほどで一木歯科医院に到着、装飾を排したインターナショナル・スタイルの建築ですが、一階と二階の窓のアンバランスな配置に底知れぬ不安感を覚えます。そして驚いたのがその隣にあったオープン・スペース。なにやら石材がごろごろと無造作に放置されているのが気になって近寄ったところ、「奉納」と記されている折れた石柱、「母子島橋」というプレート、ビルにとりつけてあったらしい石の彫刻、きれいなタイルがはめこまれた石壁の一部、さらには折れた鉄製街灯の根元、そしてポツンと乗せられた蜜柑など、いわくありげな、でも怪しいものばかりです。ガレージ・セール? モダン・アート? 古い建造物を破壊することへの抗議? たんなる物数寄? ああわからない。わかりやすい景観ばかりが増殖する昨今、こういうわけのわからないものに出会うとほっとします。
c0051620_716453.jpg

 駅への帰途は、隣を並行する路地を歩きましたが、まずはちょっと寄り道をして羽黒神社の前にある小公園に行き、青木繁の碑(書は熊谷守一)と、西条八十作詞・中山晋平作曲の下館音頭の碑を再訪
c0051620_7162912.jpg

 オーソドックスな火の見櫓も健在、肩を抱き合って旧交を温めるようと見上げたら、隣の電信柱に「ミカド写真館」という看板。
c0051620_7165796.jpg

 またさきほどの路地に戻りしばらく歩くと、斜面に沿ってとぐろをまくようにうねる旅館(?)の廃墟、「二十才未満の方の立入堅くお断りいたします」という小さなプレートの貼ってある謎の仕舞た屋がありました。まるでつげ義春の世界に迷い込んだような怪しく濃密なひと時の余韻とともに、下館駅に到着。
c0051620_7172218.jpg

 小用をすませようと駅のトイレに入ると…蝿の標的シールが貼ってありました。
c0051620_7175495.jpg


 というわけで、益子も久保講堂ももちろん良かったのですが、下館の胡散臭く怪しい魅力にはまいりました。おいしいものとかわいいものと流行を執拗に追いかける方々はこの際度外視して、わけのわからないもの、怪しいもの、胡散臭いもので町興しをしてはいかがなものかと、たまたま立寄った風来坊は提言します。中澤時計店・荒川家の奇妙奇天烈、狛犬(狐)の異形、下館スピカの虚無、廃墟・仕舞た屋の寂寞、火の見櫓の叙情、石材墓場の超現実性、それに香り高い板谷波山記念館と、蔵の町並み、真岡鐵道のSLを組み合わせればいけますよ、きっと。キャッチ・コピーは、そうですねえ、「路地に迷い込めば、そこは魔界 怪しげな街・下館」というのはいかが。
by sabasaba13 | 2010-05-01 07:18 | 関東 | Comments(0)
<< 言葉の花綵28 下館・益子編(12):下館(0... >>