市街地から郷ノ浦大橋を渡ってすこし離れたところにあるホテルまで送ってもらい、丁重にお礼を言ってお別れしました。チェックインをして旅装を解き、それでは夕食を食べに、郷ノ浦までくりだすことにしますか。郷ノ浦大橋からは港と町を一望できます。今回の旅では利用しませんが、郷ノ浦港ターミナルビルを表敬訪問。
そして数分歩くと小さな市街地に到着です。「小川鉄工所」の手作り看板に職人の矜持を感じ、入り江にかかる橋を渡ろうとすると、「百合若大臣の鬼退治」という碑がありました。昔、壱岐には五万人の鬼を率いる悪毒王という鬼の大将がいたそうです。都の百合若大臣という武者がやってきて鬼たちを退治し、最後は悪毒王と一騎打ちの末にその首を切り落としますが、ところがその首は空高く舞い上がり、首をつなぐ薬を手に入れるために消え去ってしまいました。大臣はその胴体を岩陰に隠し待ちうけ、ふたたび戻ってきた首と格闘、兜に噛みつき必至に抵抗するもとうとう絶命してしまった、というお話です。橋の上には、悪毒王と百合若大臣の石像もありました。
川面にその姿を映す
火の見櫓をみながら直進すると、つきあたりにあるのが塞(さえ)神社です。さえの神=道祖神ですから、何やらいわくありげな神社ですね。由来の解説を読むと、祭神は、天の岩戸の裸踊りで知られるアメノウズメノミコトとサルタヒコが一体となった猿女君(サルメノキミ)。良縁・安産・夫婦和合・性病・子どもの守護に霊験あらたかと言われ、かつて壱岐に上陸した男たちは必ずこの神社で一物を照覧したそうです。「何を祈るか丑満に女性の詣りが多い」という最後の一文が何とも言えない余韻を残します。本殿前にも中にも巨大な陽根があり、右手のガラスケース内には「ちょっとのぞいて見てごらん」と手招きする、正座をした猿女君の小像がありました。そこまでおっしゃるのなら覗かせてもらいましょう、でもどこをどうやって覗けばいいの? 像はガラスの上に坐っているので、どうやら下から覗けるようです。すると… はい、女陰を拝めました。なんともおおらかな神社です。
懐かしい雰囲気を残す商店街や、ビルを貫く通路に密集する商店を眺めながら、「トロル」というレストランに到着。
はい、壱岐牛のサーロイン・
ステーキがお目当てです。柔らかいけれどもしっかりとした味のステーキに舌鼓を打ちました。ステーキセットが3800円というのも納得のお値段です。夜風を浴び港や町の夜景を眺めながらホテルに戻って露天風呂に入り、壱岐焼酎「壱岐っ娘」を呑みながら、明日の旅程を検討しました。路線バスで勝本に行き町を散策、もし時間があれば帰りに湯ノ本で途中下車して温泉街を徘徊。そして郷ノ浦から芦辺港までバスで行き、時間があればターミナル近くの「うめしま」で再び壱岐牛を所望。そして14:25発のジェットフォイルに乗って15:30に博多港に到着。さてここからが問題。帰路の飛行機は福岡空港19:10発の便です。その間、だいたい三時間ほどありますので、どこをふらつきましょう。金印が発見された志賀島か、うーん船を使うので時間がかかりそうだな。いっそのこと福岡市博物館で本物の金印を見てみますか、近くには福岡タワーもあるし、ガイドブックによると元寇防塁跡もあるようです。よしっ決まり! それでは明日に備えて爆睡することにしましょう。
本日の三枚です。