南東北錦秋編(16):登米(09.10)

 そしてスレートに関する展示がある「玄昌石の館」を見学。
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 その隣にあるのが旧登米警察署庁舎です。バルコニーがついた下見板張りの白い洋館で、いやはや、とても警察署には見えない愛らしくキュートな建物です。こんな警察だったら捕まってもいい、いやよくないな。中に入ると、人の往来で磨り減った階段が歴史を感じさせます。内部の意匠も洒落たものです。竣工は1889(明治22)年、設計は登米高等尋常小学校と同じ山添喜三郎です。一階に降り、復元された留置場を拝見して、容疑者を取り調べた調所へ。
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 愕然としたのは、容疑者の座る(土下座する?)床が、取調官の座る床よりも完全に低く設えてあることです。まるで江戸時代のお白洲だ。国家権力に対する畏怖と敬意を身体に刻み込むための仕掛けですね。こうした巧妙な仕掛けが網の目のように張り巡らされ、その頂点に天皇が位置したのが近代日本だったのかな、と考えてしまいました。入口の前に屹立する火の見櫓が街のいいランドマークになっていますね。
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 それでは外へ出てこのあたりを徘徊しましょう。このあたりでも古いキッチュな建物を見かけます。ある町工場のようなお宅には、「登米名物松笠風鈴」「銅鉄鋳物一式製作所 銘産松笠風鈴製造元 江田嘉茂佐エ門」と達筆な墨書の看板がかかっていました。どんな風鈴なのでしょう。ん? 江田? 鋳物? どこかで聞いたことが… あっ さきほど撮影した写真をデジカメのディスプレイで確認すると、小学校の廊下に吊り下げられていた半鐘の解説に「登米伊達藩鋳物師江田家第19代江田嘉茂左衛門」とありました。こちらの先代か先々代なのでしょうか、名跡をしっかりと受け継いでいるのですね。
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 その先にある酒蔵はこれでもかこれもでもかまいったかこれでもかと海鼠壁におおわれていました。あるお宅の板塀と門扉にはみごとな透かし彫りがほどこされています。
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 「印刷 佐々木活版所」は下見板張りの堂々とした木造家屋ですが、パソコンに仕事を奪われたためかどこか淋しそう。このあたりでもスレート葺きの屋根をよく見かけました。あるお宅の二階に、小粋な意匠の桟がある小窓を発見。
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 そして前小路(武家屋敷通り)に入ると、道がいきなり直角にくいっくいっと曲がっています。そして長屋門が連続する落ち着いた雰囲気の街並みを愛でながらすこし歩くと、唯一公開されている武家住宅、「春蘭亭(旧鈴木家)」に到着。
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 現在では無料休憩所として整備されており、お庭を拝見したり、抹茶をいただいたりすることもできます(有料)。盛りを過ぎたとはいえ、いろいろな樹木の色づきがきれいでした。
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 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2010-10-14 06:27 | 東北 | Comments(0)
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