南東北錦秋編(17):登米(09.10)

 その先にあるのが、1872(明治5)年に落成した旧水沢県庁舎。県庁所在地が一関に移ったことから、その後は小学校、そして裁判所として利用されたそうです。冠木門をくぐり、狐格子の妻飾りがある堂々とした入母屋造りの玄関から中に入ると、昔の裁判所の様子がよくわかります。法廷では被告人の席が裁判官より数段低いところに置かれているのは、先ほどの警察署と同じですね。驚いたのは、登記願人控所ですらも、願人の待機する部屋が、役人がいる窓口内部の部屋よりも低くなっていたことです。「人民は弱し、官吏と国家は強し」と、肉体に直截的に刻み込むための仕掛け、脱帽です。なおこちらにはレンタサイクルが五台あるので、これを利用するのも一興でしょう。
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 その隣には塀に囲まれ中には入れない謎の木造洋館がありましたが、汚れきった看板に「Tome Foreign Dress Making Girls' High School」と書いてありました。あの洋裁学校「ドレメ」の前身なのでしょうか? 宿題にしておきましょう。よくは見えなかったのですがきちんと修繕すれば見違えるようになると思います、ぜひ修復のうえ公開を望みます。
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 というわけで以上街歩きは終わり、さまざまなタイプの古い民家・商家・ビルが混在しながらこれほどたくさん残っている街は珍しいと思います。きちっとメンテナンスや修復をして街全体を整備すれば、観光地としてとてつもないポテンシャルを秘めています。このまま朽ち果てていくのはあまりにも惜しい、といっても私にできることはこうして少しでも多くの方々の耳目を引き付けることだけですが。応援します、フレーフレー、と、よ、ま!
 道を挟んですぐ目の前にある「遠山之里」に戻り、トイレを拝借。ここのトイレ男女表示は逸品ですね、明治の小学生の後姿でした。そして観光案内所にお願いしてタクシーを呼んでもらいました。その間、付近をぶらぶらしたのですが、けっこう観光バスが駐車していてバスガイドさんに案内された観光客の方々がぞろぞろと歩いておられます。もしかしたら静かな登米ブームが起きているのかもしれませんね、嬉しいことです。
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 やってきたタクシーに乗り込み、柳津駅までむかってもらいました。先ほどお世話になった駅の女性係員に丁重に謝し気仙沼までの切符を購入。そして16:14発の気仙沼線気仙沼行きの普通列車に乗り込みました。なおすこし戻った前谷地で石巻線に乗り換えると終点が女川(おながわ)、そう核(原子力)発電所があります。無駄で危険な公共事業ウォッチャーとして後ろ髪を引かれますが、旅程の関係でスキップせざるをえません。再訪を期す。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2010-10-15 06:27 | 東北 | Comments(0)
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