そして9:33に猊鼻渓駅に到着。こちらは無人駅でコインロッカーもなし、荷物をもって案内表示にしたがって十分弱歩くと猊鼻渓舟下りの乗り場に到着です。近くのお店の看板には、「舟下り駐車を無料にしておりますので、だんごの一本もお願いします」と頭を下げる福助さんが描かれていました。車を停めておかせてもらいながら団子の一本も食べない、そりゃあ人の道を踏み外す行為ですよ、桃太郎侍に切られても弁明はできません。
マルクス・アウレリウス・アントニヌスだって「感謝の気持ちは物であらわせ」と言っておられるではなかとか(嘘)。
乗船券を買うと、幸い空いていて次の10:00発の舟に乗れることになりました。待合室で情報をチェックしていると、ここから中尊寺に直行するバスが出ているそうですが、土日祝のみ。そやつに乗れればベストなのですが残念。観光バスでやってきた方々は、用意されていたツァー用の舟に次々と乗り込んでいきます。個人旅行者は忸怩たる思いで指をくわえながら見送るだけですが、これはいたしかたないですね。自由の代償です。
そして時間です、十数人のお客さんとともに平たい舟に乗り込みました。はい、それでは猊鼻渓の紹介です。(スーパーニッポニカより引用)
岩手県南部、東磐井郡東山町を流れる砂鉄川の峡谷。国指定名勝。古生層の石灰岩層が砂鉄川に侵食され、高さ10~30メートルの奇岩、絶壁が屏風のように連なった姿を水面に映し、その延長は2キロに及ぶ。断崖はヤマツツジやフジで彩られ、フジの咲くころと紅葉期はとくに美しい。岩壁の一つに一種の鍾乳石である岩のこぶがみられ、猊(獅子)の鼻に似ていることから猊鼻の名がつけられた。遊覧船もあり、竿を操る船頭の追分を聞きながら探勝するのは格別である。
おっ珍しく個人的な感情を交えた解説ですね。
さあ出発。流れの静かな川なので、船頭さんが上りも下りも竿で押して舟を進ませます。残念ながら予報どおり、雲がわき太陽は隠れてしまいましたが、それほど寒くないのには助かりました。底が透けて見える静謐な流れの上を、舟はゆるやかに上っていきます。まずはお決まりの記念写真の撮影、川岸に設けられた櫓にカメラマンが待機していて、手を振っています。パチリ。
そして左へ大きく曲がると、おおっ、絶景絶景。盛りを過ぎたとはいえ、川岸に屹立する奇岩・絶壁がまとう色あでやかな錦に目も心も奪われてしまいました。穏やかな川面にかすかに揺らぎながら映る紅葉も情趣あるもの。時々すれちがう舟からは、船頭さんの唄う追分が聴こえ、両側にそそり立つ絶壁に反響し、胸に響きます。
本日の六枚です。