箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)

 霜月もなかばを過ぎると、もう居ても立ってもいられません。そう紅葉狩り酣の季節です。例年この時期は東奔西走・神出鬼没・雨天決行・平身低頭(筆者注:山ノ神の許可を得るため)、「私を真っ赤にしてえ」と言わんばかりに駆けずり回っています。今年はすでに南東北錦秋めぐりを敢行しましたが、第二弾は日帰りで箱根に行ってきました。故あって出発時刻が遅れたので、ちょいときつい旅程となりましたが、後は野となれ山となれ、「倒れ伏すとも萩の原」という所存です。紅葉フリークのために日付を言いますと、2009年の11月21日、持参した本は「二大政党制批判論 もうひとつのデモクラシーへ」(吉田徹 光文社新書424)です。
 まずめざすは大雄山最乗寺。小田急ロマンスカーに乗って小田原で下車、そして伊豆箱根鉄道大雄山線に乗り換えです。事前に確認しておいたのですが、一時間に五本ペースで列車が走っているので乗り継ぎに気を使わなくてもよいのには大助かり。さっそく列車に乗り込み車窓から外を眺めると、ずっと住宅地が連なっており、利用客の多さがうかがい知れます。そして二十分ほどで終点の大雄山駅に到着。案内に従って右手に行くと、そこがバスの停留所でした。一時間に二~三本しかないので、こちらは調べておいた方がいいかもしれません。幸い、出発寸前のバスに乗り込むことができました。市街地を抜けるとやがて緩やかな坂道となり、そして鬱蒼とした木立があらわれ、その間をバスはぐんぐんと進んでいきます。十分ほどで大雄山最乗寺(道了尊)に到着です。こちらのお寺さんは曹洞宗の僧・了庵慧明が1394(応永元)年に開いたもので、彼の弟子であった道了がその怪力により助力し、師の没後からは寺門守護と衆生救済を誓って天狗となったと伝えられます。その後、最乗寺の守護神として祀られることとなり、庶民の間でも信仰を集め講が結成され、また、江戸の両国などで出開帳が行われるほどであったそうです。帰りのバスの時刻を確認し、いざ出発。なおバス停留所の付近には、食堂・土産屋・トイレがありました。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_62323.jpg

 観光客の姿も散見されますが、それほどの数ではありません。これならゆるりと紅葉狩りを楽しめそうです。石段をのぼりはじめると、もう深山幽谷の趣です。それにしても雄渾な杉木立の見事なこと! もうこれだけでも来た甲斐があったというものです。寺伝によると、開祖の了庵が植林を勧め、以来山林愛護と伐採禁令が脈々と行われてきたとのこと。その見識と努力には頭が下がります。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_6233049.jpg

 数分ほどのぼると三門に到着、このあたりからそろそろ色づいた木々が目につきはじめました。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_6235089.jpg

 そしてさらに石灯籠が並ぶ緩やかな石段をのぼっていくと、昼なお暗い杉木立の中、石段の奥が怪しく暖色に輝いています。たどりついてみると、真っ赤に紅葉したもみじの古木がありました。これはお見事。ここを右に曲がると本堂へと続く石段がありますが、このあたりが一番の見どころでした。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_6241459.jpg

 そして山や谷の地形に合わせて金剛水堂、開山堂、多宝塔、不動堂といった諸堂が点在しています。山一面の紅葉というわけではありませんが、緑と調和してなかなか見応えがありました。何よりも、寂寞とした雰囲気と清澄な空気がいいですね。御真殿脇には、奉納されたたくさんの巨大な高下駄がありましたが、天狗=山伏=修験道ということでしょう。なぜ天狗が高下駄を履くのか、興味がありますね。紅葉を愛でながらひとしきり散策、俗塵をきれいに洗い流して再びバスに乗り込み、大雄山駅に到着。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_624395.jpg


 本日の四枚です。
箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_625065.jpg

箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_6252236.jpg

箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_6254214.jpg

箱根錦秋編(1):大雄山最乗寺(09.11)_c0051620_626529.jpg

by sabasaba13 | 2010-11-11 06:27 | 関東 | Comments(0)
<< 箱根錦秋編(2):箱根美術館(... 明治神宮編(3):(09.11) >>