養老渓谷編(1):(09.11)

 2009年の秋は紅葉狩りで大童でした。でもこんな忙しさなら♪ど~んとどんとどんと波乗り越えて♪です。南東北箱根に続く第三弾は、千葉県房総半島の養老渓谷です。紅葉フリークのためにピンポイントで日付を記しますと11月28日の土曜日。ただ問題はアクセスです。なにせ小湊鉄道の便数が少ないため、大混雑が予想されます。よって一念発起、おじさん得意の早起きでアタックしてみましょう。ジョルダン乗り換え案内で調べたところ、5:56発の列車に乗れば、総武線で千葉へ、内房線に乗り換えて五井へ、小湊鉄道に乗り換えて8:51には養老渓谷駅に到着できるもようです。よしこれでいこう。持参した本は「たいした問題じゃないが -イギリス・コラム傑作選-」(行方昭夫編訳 岩波文庫)です。

 幸い本日は好天のようです。この世の終わりを告げるような目覚まし音で朝五時に叩き起こされ、地獄のように熱い珈琲で眠気を吹き飛ばし、5:45に意気揚々と家を飛び出ました。この時刻ならば余裕の義輝君で列車に間に合います。駅に着き入線してきた列車に乗り込み座席に座ってやれやれと安堵していると、車内アナウンスがありました。「次は○○○○○~」 …………………………………やっちまったあ、逆方向だあ! 慌てて次の駅で飛び降り、向かいのホームに行きましたがしばらく列車は来ないようです。これで計画はマジノ線のようにもののみごとに瓦解。いや諦めてはいけない、それは愚か者の結論だ、龍馬のようにたとえ死ぬ時でも前に倒れようと訳の分からないことを呻きながら、とりあえず計画通りの行程をたどってみました。しかし当然の如く五井駅に着いたときには、上総中野行きの列車は影も形もありません。次の8:30発の列車は途中の上総牛久止まり、上総中野の一つ手前、目的地の養老渓谷駅まで行く列車は9:22発です。五井の駅前にはけっこうビルが建ち並んでいるので、ここでモーニングサービスでもいただきながら本を読んで時間をつぶすか。いや、小湊鉄道にはレトロな駅舎が多いという話をどこかで聞きました、とりあえず牛久まで行って付近を徘徊すれば何か面白いものが見つかるかもしれません。坐して時を浪費するよりは、一歩を踏み出してみましょう。なお太平洋岸にある小湊まで通じていないのに、なぜ“小湊鉄道”と名乗るのか? 「線路を楽しむ鉄道学」(今尾恵介 講談社現代新書1995)によると、当初は房総半島を横断する計画でしたが、山を越えるだけの資金がなく上総中野までで挫折したとのことです。(p.159)
 というわけで8:30発がやってきましたが、濃紺のオレンジ色に塗られたなんとも古色あふれるしぶいディーゼルカーです。鉄ちゃんとまではいきませんが、鉄五郎ぐらいの自負はあるので、ローカル線の旅を楽しむことにしましょう。地元の方らしき数人を乗せて、出発進行おおお。長閑な田園風景の中を、列車は気もち良さそうにのてのてと駆け抜けていきます。車掌さんが来たので切符を買おうとすると、お得な一日フリー切符を勧められたのでこちらを購入。ついでに牛久から養老渓谷に行くバスはありませんかと訊ねると、申し訳なさそうに「ありません」というお答え。タクシーを使えば高額になりそうなので、ここは予定通り牛久で降りて付近を徘徊し次の列車に乗ることにしましょう。やはり車掌さんがいらっしゃると心も和むし、なにかと助かります。列車は、定年退職後にジョギングを楽しむご老人のように、陽がふりそそぐ田や畠の間をのんびりと走っていきます。たしかに木造の古い駅舎が多いですね、途中下車できないのが残念です。手書きの駅名看板もいい味を出しています。
養老渓谷編(1):(09.11)_c0051620_543795.jpg


 本日の一枚です。
養老渓谷編(1):(09.11)_c0051620_5433013.jpg

by sabasaba13 | 2010-11-14 05:44 | 関東 | Comments(0)
<< 養老渓谷編(2):(09.11) 箱根錦秋編(3):強羅公園(0... >>