深谷編(4):(04.8)

 そして、日本煉瓦製造株式会社へ。この会社は、明治政府が計画した洋風建築による官庁街建設を推進するため、煉瓦を大量供給する民営工場として、渋沢栄一が中心となって設立したものです。重要文化財となっている旧事務所を拝見した後、いよいよホフマン輪窯へ。
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 日本では四つしか現存していないそうな。以前紹介した碓氷線めがね橋も、日本銀行本店も、ここでつくられた煉瓦を使用していると思います。まあ簡単に言うと、18の焼成室がドーナツのように輪状に並べられていて、一室を焼成する際の余熱で次室の素地を乾燥させ、温め、加熱するという合理的な仕組みで、長期の連続操業が維持されたと説明板にあります。残念ながら覆いで覆われていて全体像はつかめません。煉瓦でつくられた巨大なドームの一部が見えるだけです。恐る恐る暗い内部に入っていくと、そこは別世界。かまぼこのような形の焼成室が、湾曲しながら続いています。奥は立ち入り禁止で、わずかな部分しか見学できないのですが、煉瓦という素材の存在感に圧倒されました。1000度強の高熱で何百何千回も焼かれて、それに耐え抜いた煉瓦。丈夫さと機能を徹底して追及すると、モノは"荘厳"の域にまで達するのでしょう。これが近代化遺産を見る醍醐味です。昨今のモノは、採算のために、「壊れやすさ」を意図的に計算に入れているから不愉快なのですね。「誰が何と言おうと朽ち果てるまでここに存在してやる!」という叫びに耳を傾け続けよう、と決意を新たにしました。
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 帰りに、この工場への引込み線のために架けられた福川鉄橋を拝見。1895(明治28)年の建設当初の姿をそのままに伝える、日本最古のボーナル型プレート・ガーダー橋だそうです。駅に戻り、立ち寄ったスーパーで7カ国語で表示された「両替お断り」の張り紙をゲット。ガスト・アルバイターが、この深谷にいかに多いか、痛感しました。
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by sabasaba13 | 2005-04-24 09:41 | 関東 | Comments(0)
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