丹波・播磨・摂津編(1):前口上(10.2)

 二月の中旬に、代休をからめて三連休とすることができたので、丹波と播磨を中心に旅してきました。最大の眼目は、『美の巨人たち』を見て感銘を受けた、遠藤新設計の旧甲子園ホテルです。現在は武庫川女子大学が所有し、事前に連絡をすれば見学が可能だということです。さっそく電話をしてみると月曜日の午前十時から見学できるとのお返事、この物件を中心に旅程を組んでみましょう。まずはこれまで諸事情により見物しそこなった物件の落穂拾いです。遠藤新ときたら、当然、彼の師であるフランク・ロイド・ライトが設計した山邑邸(現ヨドコウ迎賓館)をはずすわけにはいきません。幸い、神戸の芦屋にあるので訪問は容易です。神戸か… 函館長崎とならび日本三大夜景と謳われる夜景も見ることにしましょう。神戸はかつて訪れたことがあり、めぼしい所は散策済み、何か見落とした物件はないかな、ちょっと調べてみましょう。本やインターネットを渉猟した結果、水の科学博物館・神戸税関・布引ダム・御影公会堂・今津小学校六角堂といった物件をゲットしました。それからちょっと遠いけれど、宝塚近くの清荒神(きよしこうじん)にある富岡鉄斎美術館、前から気になっていました。こちらは時間が許せば寄ってみましょう。そして東大寺南大門とならび、現存する大仏様(天竺様)建築の浄土寺浄土堂はぜひ見てみたいものです。こちらは神戸電鉄小野駅からバスかタクシーで行くことになります。
 そして神戸の西には、古い街並みの残る「ちょっといい町」が点在しているので、いくつか訪れてみることにしました。『小さな町小さな旅 関西周辺』(山と渓谷社)によると、丹波篠山・龍野・室津・平福・坂越といった町が紹介されていましたが、とても全部はまわれません。泣いて馬謖を斬る、断腸の思いで篠山と龍野を選択、後の三つの町は切り捨てました。ごめんね、おいちゃんを許しておくれ。
 というわけでいつものようにコテコテパッツンパッツンの内容ですが、さてこれらをどうやって二泊三日にパッキングするか。添乗員やツアーコンダクター以外には何の役にも立たないスキルですが、けっこう身についてきました。まず初日は龍野と篠山を訪れたいのですが、かなり距離が離れているので少々きついようです。この際、前日の夜に新幹線で姫路まで行ってそこで泊まることにしましょう。龍野と篠山を見て篠山に宿泊、これは問題なし。二日目は浄土寺浄土堂に寄って、神戸へ。山邑邸をじっくりと拝見し、残りは先述の物件を訪問しましょう。もし時間に余裕があれば富岡鉄斎美術館も追加。そして夜景を見物して神戸泊。三日目は神戸で見残したものがあればそれらを見て、予約しておいた甲子園会館へ。いちおう10:00~11:00と指定されているので、午後にもどこかに行けそうです。大阪で見るべきものはないかな、と本やインターネットで調べてみると、おっ、あったあった。玉造駅の近くに、陸軍真田山墓地がありました。なんでも明治初期から日露戦争にかけての、軍人・軍関係者の個人墓碑が五千基以上あるそうです。これは行かなければ。毛馬閘門も面白そうですね、蕪村生誕地の碑も近くにあるそうです。中之島の公会堂と図書館にも寄ってみたいな、時間があれば東洋陶磁美術館で、油滴天目茶碗に再会したいものです。他にも、旧岸和田村立尋常小学校や、大塩平八郎ゆかりの洗心洞跡や、大村益次郎殉難の碑や、適塾や、芭蕉終焉の地・南御堂などもありますが、ま、これらは時計と相談したうえで取捨選択しましょう。そして新大阪駅でねぎ焼きを食べて、新幹線に乗ってフィニート。後は野となれ山となれ、さよならだけがじんせいだ。
 持参した本は、『自然の家』(フランク・ロイド・ライト ちくま学芸文庫)と『日本の近代美術』(土方定一 岩波文庫)です。なお前者は、この旅を思いついたちょうどその頃に上梓された新刊書です。こいつは春から縁起がいいわい。
by sabasaba13 | 2011-02-07 06:22 | 近畿 | Comments(0)
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