丹波・播磨・摂津編(32):大阪市中央公会堂(10.2)

 墓地には「餌ほっとかんといてー」「糞は始末してやー」と苛立つおかんのポスターがありました。
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 さて現在の時刻は午後二時ちょっと前、帰りの新幹線は予約していないのですが、午後六時ごろには乗車したいものです。よって旧岸和田村立尋常小学校や、大塩平八郎ゆかりの洗心洞跡や、大村益次郎殉難の碑や、適塾や、芭蕉終焉の地・南御堂はきっぱりとあきらめて、中之島中央公会堂と、毛馬閘門だけに行くことにしました。地下鉄長堀鶴見緑地線の玉造駅近くでは、愛犬家と嫌糞家が歩道をはさんで鬩ぎ合っていました。
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 さて唐突に便意をもよおしてきたので小走りに駅の階段を駆け下りると、改札に入る前にトイレがありました。セーフ。東京では駅構内にトイレを設置するという陰険な営為が多いのに、これはたいした見識ですね。賞賛に値します。そして心斎橋で御堂筋線に乗り換えますが、狭いエスカレーター入口を抜けて下ると広大な空間のホームとなっています。その対比があっというくらいに印象的だったのですが、フランク・ロイド・ライトの影響…なわけはないな。
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 地下鉄車内では愉快な吊り広告を二つ発見。「きせかえ仏壇、できました。」「想像を超えた仏壇と出会える」という広告は、グラデーションのついた鮮やかな色の扉を季節によって変えられるという仏壇の紹介。祖霊を大切にするとともにモダンなテイストも味わいたいという、大阪人のmentalityを見たような気がします。
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 もう一つは「あゝ青春の時刻表」という大阪市交通局の宣伝。「はじける青春! みなぎる血潮! 若い二人は時刻表を手に、颯爽とバスに乗る!」という映画仕立ての時刻表販売促進ポスターです。監督は壇鳥英三(=だんどりえーぞ!)、主演男優は馬須出剛(=バスでGO!)、というこてこてに脂ぎった駄洒落が炸裂しています。ただ、脚本の植部健作、主演女優の茂梅留美奈の意味がわからない… あえて考えさせるための仕掛けなのか、ネタがつきただけなのか、ああ気になります。大阪市交通局のみなさん、ぜひご教示してください。
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 淀屋橋駅で降り、淀屋橋を渡るとそこが中之島。まずは中之島図書館とご対面ですが、まるで神殿のような大仰なデザインには驚かされます。解説板によると、住友吉左衛門によって寄附されたもので、竣工は1904(明治37)年です。ライトは見たら、「なぜ図書館は図書館らしく作らないのだ!」と激怒したでしょうね。その隣にあるのが、大阪市中央公会堂(旧中之島公会堂)です。いやあ恰幅のいい堂々たる外観ですね。二本の尖塔にはさまれた半円形のアーチが見事なアクセントになっています。半円の縁を飾る石と煉瓦の装飾が、まるで陽光のようです。ウィキペディアによると、株式仲買人である岩本栄之助の寄付によって建設計画が始まり、岡田信一郎の原案に基づいて、辰野金吾・片岡安が実施設計を行ない、1918年(大正7年)オープンしました。なお岩本栄之助は第一次大戦による相場の変動で大きな損失を出し、公会堂の完成を見ないまま1916年(大正5年)に自殺したという悲話も残されています。それにしても、戦前の富豪たちは、このように多額の寄附をして公共のための施設をつくることが多かったようです。現在ではあまりそういう話は耳にしません。"ノブレスオブリージュ"という言葉はもう完全に死語なのですね。株や投資による「濡れ手に粟」的成金が激増した昨今、苦心惨憺して金を稼ぐ→高貴な行為+社会に還元する義務、という図式が崩壊してしまったのでしょうか。

 後日談。大阪市交通局のポスターの話を山ノ神にしたところ、しばし沈思黙考、「ねえ、“うえべ”じゃなくて“うえぶ”って読むんじゃないの」 うえぶけんさく…WEB検索か! じゃあ茂梅留美奈は? そんなこともわからないのと憐れむような眼で小生を見つめ「モバイル見な」と一言。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2011-03-19 06:27 | 近畿 | Comments(0)
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