熊野古道編(14):近露王子(10.3)

 ここまで来ればゴールは目の前、もうひと頑張りです。足元は滑りやすい石畳、こりゃあ濡れていたら一苦労だわいと思いつつ、慎重に下り坂をおりていくと、眼前に折り重なるように連なる山々と、その懐に抱かれたような近露の町が見えてきました。町並みを一望できる休憩所で一服し、坂をおりきると日高川沿いの道にでます。
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 北野橋を渡ると近露王子跡に到着、時刻は14:03、滝尻王子から約六時間半かかりました。まずは近露王子を見学、解説板によると、ここで宿泊し、日置川で禊をしたあと本宮へ向かうのが通例だったそうです。大きな石碑がたっていますが、その文字は出口王仁三郎の筆跡だそうです。1933(昭和8)年に彼がここで休息した際に、村長が懇願し揮毫してもらいましたが、その二年後に大本教は大弾圧を受けます。警察はこの碑の破却を求めますが、村長がうまくごまかして免れたとのこと。彼の揮毫はほとんど全部破壊され、残された唯一のものだそうです。大本教への弾圧といえば、坂口安吾の随筆「日本文化私観」を思い出しますね。いずれにせよ貴重な歴史の証人です。
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 道をはさんですぐ目の前にあるのが、今夜の塒、旅館「月の家」です。まるで古風な民家のような佇まい、さっそく玄関に入ると、「杖と塩を忘れるな…」と重厚な口調で助言をくれたおやっさんが現れました。心の中で手を合わせつつ挨拶をすると、二階へ通されました。そこは十数畳もあろうかと思われるだだっぴろい大広間。…テレビがない… テレビ嫌いの私としては何の痛痒も感じないのですが、これは稀有なる、というよりもはじめてですね。悪しき現代文明へと鉄槌と受け取りましょう。座布団を並べて、しばしの間気持ちよくうたた寝。清新な空気を吸って歩いた心地よい疲労感が全身を満たし、爆睡してしまいました。
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 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2011-04-30 06:21 | 近畿 | Comments(0)
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