筑波山編(5):石岡(10.5)

 それではまず久松商店とご対面。1930(昭和5)年頃に建てられた化粧品・雑貨店(現在は喫茶店)で木造二階建て。下見板張りのファサードは、戦前には銅板が張られていたそうです。シンプルな外観ですが、モンドリアン風の窓の桟、正面の小さなアーチと雷文の装飾、両サイド柱頭の飾りなど、ちゃんと神が細部に宿り給うています。隣にある十七屋履物店も1930(昭和5)年頃に建てられた物件で、縦長の連続窓や中央にぴょこんと突き出た半円アーチとその中のメダリオン、持送風の柱頭飾りなど、こちらも見どころ満載。久松商店と妍を競いあっています。道路をはさんでその向かいにあるのが、観光施設「まち蔵藍」として再利用されている丁字屋。江戸末期に建てられた藍染屋ですが、1929(昭和4)年の大火で焼失を免れた唯一の商家建築。藤森照信氏に「日本の町屋は屋根を見せる」という至言がありますが、屋根が気持ち良さそうにのびのびと広がっています。向かいの看板建築との対比が興味深いですね。その先にあるのが、すがや化粧品店。こちらも1930(昭和5)年頃、つまり大火後に建てられた看板建築です。右書きの屋号を冠したペディメント、見よう見まねで模倣した苦心の跡がいじらしいコリント式柱頭とイオニア式柱頭をいただく四本の列柱の浮き彫り、石材を繊細に組み合わせた壁面など、完成度は最も高いですね。破綻がないだけやや興趣に欠けますが。観光案内地図には載っていないのですが、垂直線を強調したシャープなフォルムの吉田クツ店、銅板張りで二重のアーチがキュートな玉川屋もお見逃しなく。蕎麦屋の東京庵は1932(昭和7)年頃に建てられたそうで、入母屋式屋根と瀟洒で洗練された格子窓が味わい深い、正統派の商家建築。
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 森戸文四郎商店は、直線を強調したすっきりとしたアール・デコ風の佇まいですが、さりげなくちりばめられたアカンサス(?)や花輪(?)のような浮き彫りの装飾がキラリと光っています。おっよく見ると窓の桟が松葉をデザインしたものではないですか、これにはおじさんもまいった。神社通りへと左折すると、せっかく大きなファサードにしているのに装飾がほとんどない晃玉人形店をゲット。これだけ寂寞だとかえって印象に残ります。平屋ですが最上部にほどこされた菱形をモチーフとしたシャープな装飾が粋なお宅もありました。
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 本日の五枚、上から久松商店、十七屋履物店、丁字屋、すがや化粧品店、森戸文四郎商店です。
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by sabasaba13 | 2011-07-15 06:19 | 関東 | Comments(0)
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