印象深いのが、みなさんおしゃべり好きなことです。そしてどこに行っても目に付いたのが、リタイアした感じの初老のハンチングをかぶったおじさんたちが、数人集まって楽しそうに話し込んでいる光景です。いやはや、これには感動してしまい「集うおやじ」の写真を何枚もとってしまいました。
ある街では、細長い公園をはさんで向かい合うアパート二階に住むおばさんが大声で世間話をしておりました。これは自分の住む街や村に仲間がいるということ、そして娯楽が少ない=収入も少ないということも関係しているかもしれません。窓から外をぼーっと眺めている人もたくさんみかけました。「いかにして金をかけずに楽しく時間を潰すか」という暮らし方を感じます。これは参考になりますね。そうすればグローバル企業の餌食にもならないし。
ちなみに今回の旅行中に、マクドナルドを見かけたのはわずか二回でした。ポルトガルは食い物にできない、と多国籍企業も見放しているのかな。おしゃべりの話にもどりますと、もちろんおばさんも負けていません。エヴォラで、八人のおばさんがベンチに並んで話し込んでいるのを見て、ドストエフスキー的鉄槌を受けました。「おばさん八連発…」と呟きながら写真をとったのですが、今の日本では想像できない情景です。夕暮れ時に八人のおばさんがベンチで楽しそうにおしゃべりができる国って、いいですよね。選挙公約にあげてほしい。なおモンサラスという小さな村には、昔の日本の縁台のようなベンチがドアの脇につくりつけてあって、日よけのぶどう棚がありました。村の人々が集って、おしゃべりをするのでしょうね、美しかったです。携帯電話は普及し始めていますが、メールやゲームのために画面とにらめっこということはありません。純粋に必要な会話をしてすぐ終わります。電話番号も人差指で一個一個ていねいに押していました。
本日の一枚は、リスボンのテージョ川ぞいにある「発見のモニュメント」。先頭に立っているのが、エンリケ航海王子です。