朝、時差ぼけか年齢のせいかはわかりませんが、二人とも六時ちょっと前に眼を覚ましてしまいました。どうやらジェット・ラグもすみやかに解消できたようです。ベランダに出ると、おお、陽光が緑の木々を照らしています。ようがす、そっちがその気ならこちらだって考えがあるぞっと。さっそく朝のお散歩に出かけることにしました。フロントに寄ってモーニングコールを断り、湖畔への道を教えてもらいました。昨日われわれを運んでくれたバスや、この地方の伝統的な意匠でつくられたお宅に朝の挨拶をし、清冽な空気を胸一杯に吸いながら遊歩道を歩いていくとほんの数分で到着。
おおおお何という美しさ! スロヴェニア語で何と言うかは存じませんが、日本語だったら"風光明媚"、それ以外に言葉もありません。長さ2,120m、幅1,380mの小さな湖なのですが、コバルトブルーの透明な湖水、周囲をとりかこむ木々の緑と雄渾な山なみ、湖の中央には白い教会のある小島、そしてそれらを静謐に映す鏡のような湖面、もう誰が撮影しても絵葉書状態。「アルプスの瞳」と呼ばれるのも納得です。ホテルが集まる東の湖岸まで、風景を愛でながら歩くことにしましょう。
岸辺にある手漕ぎの中型ボートは、どうやらあの小島に連れていってくれる舟でしょう。釣りをしている男性にも、ジョギングをしている女性にも、観光客らしい夫婦にも、餌を啄ばむ雀にも、湖上に浮かぶ鴨にも、もう出会う生きとし生けるものすべてに"Dobro Jutro !"と声をかけたくなります。groovyな時間をしばし堪能していると、そろそろお腹がへってきました。
さてホテルへ戻って朝食をとりますか。途中にあったラブリーな横断歩道表示と、ものものしい鉄骨の電柱を写真におさめ、部屋に戻り荷物をドアの外に出し、ホテルのレストランへ。ツァーのみなさんと添乗員さんはそろそろ食事を終えられているところでした。
個人旅行だったら、ここを先途と腹いっぱいに詰め込み、昼食はカットか屋台、夕食は地元民の通いそうな地味な店でとるというパターンですが、そこはそれ今回は泣く子も黙るパック旅行。三食(バス内での)昼寝付き、北京ダック状態が続くわけで、軽めの朝食をとることにしました。とは言っても、コンチネンタル・スタイルではなく、目玉焼きやソーセージなどのホット・ミールが湯気をたてているのを見るとついつい手が出てしまうのも人の性、目玉焼き・ソーセージ・ハム・チーズを皿にてんこ盛りにしてたいらげてしまいました。欠食中年ここにあり。そして部屋に戻り出すべきものを出して、空いたペットボトルに水道の水を詰めました。ヨーロッパでは水道水は飲まないほうがよいという注意を耳にしますが、われわれは平気の平左、頑健な胃腸を与えてくれた両親に感謝です。付言すると、こちらの水道水はなかなか美味しいものでした。部屋から見える聖マルティヌス教会とブレッド城に別れを告げ、いざ出発。
本日の二枚です。