荻窪編(8):都庭園美術館(10.11)

 ここから善福寺川に出ると、両岸に車が通れない歩道があり、和田堀公園まで続きます。途中から善福寺緑地となり、カエデは少ないのですが、綺麗に色づいた雑木を愛でることができます。コンクリートで固められた護岸なので情緒はありませんが、川面に映る紅葉がなかなかいいですね。
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 少年少女をデザインしたトイレ男女表示を撮影し、さらに歩くと和田堀公園に到着。
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 荻外荘からここまで一時間弱かかりました。残念ながらここでは綺麗な紅葉には出会えませんでした。大宮八幡宮の大イチョウは眩いほどに色づいていましたが。
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 そして永福町駅に行き、京王井の頭線で渋谷へ。岡本太郎の「明日の神話」の前を通り過ぎ、山手線に乗り換えて目黒駅に到着。本日最後の訪問先、東京都庭園美術館へは駅から歩いて十分ほどです。
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 入園料を払って中へ入り、まずは日本庭園を見にいきましょう。小さな池の周囲をぐるりとまわれる回遊式庭園ですが、真赤に色づいたカエデを堪能することができました。石橋や石灯籠や茶室も景観にいいアクセントを与えていますね。
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 そして美術館へ、こちらは朝香宮鳩彦王の邸宅で、建築史家の藤森照信氏が「アール・デコ世界一」と絶賛し、某フランス人研究家が「これほど純度の高いアール・デコはこことインドの某マハラジャの家だけ」と驚嘆した建築です。ひさしぶりだなあ、わくわく。ただ「香水瓶の世界」という展覧会が開かれており、内部は芋を洗うような雑踏です。しかもほとんどの人が夢見るような目線で香水瓶をうっとりと眺め、建物自体を食い入るように眺めているのは私だけ。みなさん、もう建物は見飽きているのかなあ。ま、いいや、人混みをかき分けかき分け純度100%のアール・デコを堪能致しましょう。
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 さてアール・デコとは何ぞや、スーパーニッポニカ(小学館)から引用します。
 アール・デコラティフ(装飾美術)の略称。ただし1925年にパリで開かれた「現代装飾美術・産業美術国際展」を特色づける装飾のスタイルをさしていう。…流れるような曲線を愛好したアール・ヌーボーとは対照的に、基本形態の反復、同心円、ジグザグなど、幾何学への好みが顕著にみられる。機械の時代に入った新生活との関連が当然指摘されるのだが、幾何学形態はかならずしも合理的かつ機能的な解決によって処理されず、むしろ優雅な趣味に裏づけされている。アール・デコの源泉の一つが異国情緒にあふれたロシア・バレエ団にあったことからも明らかなように、あるときは華麗な色彩を得て幾何学形態が繰り広げられた。…
 アール・デコを代表するデザイナーには、工芸のフォロ、ブラント、ルグラン、ポスターのカッサンドルらがあげられる。ファッション界ではポワレやシャネルがアール・デコの趣味を取り入れ、文字どおりの新時代をもたらした。ホフマンが主宰したウィーン工房の作風は、その高雅な趣味性によってアール・デコと近接する。1930年前後のニューヨークの建築装飾にも興味深いアール・デコ様式が現れている。
 「建築探偵 神出鬼没」(藤森照信 朝日新聞社)から補足すると、朝香宮はアール・デコ発祥のきっかけとなった1925年の国際展に日本代表として参加し、すっかりその魅力の虜になってしまったそうです。帰国して自邸の新築にとりかかった彼は、パリの国際展会場のデザインを仕切ったラパンに設計を依頼。ラパンは、装飾の各部分を、国際展会場を飾ったメンバーであるルネ・ラリックやセーブル国立陶磁器製作所に受け持たせ、全体をまとめあげました。つまり、アール・デコの誕生を目撃した人物が建て主、そのデザイナーがアール・デコの張本人という、世界的にも稀有な建築なのですね、うん。ただ残念なことに内部は撮影禁止、絵葉書販売促進のためか、皇族の権威を高めるためか、たんなる嫌がらせが、判然としませんが納得できない措置です。正面玄関のガラス・レリーフ扉を飾る女神たち(ルネ・ラリック作)に挨拶をして、中に入るともうそこはアール・デコの満艦飾。セーブルの高雅な香水塔、軽快なシャンデリア、扉や壁を飾る素晴らしい意匠とレリーフ、もう夢のようなひと時を満喫できること請け合いです。眼福眼福。外観の一部にそうした意匠が施されているので、こちらを見てご想像ください。いや、ぜひ訪れて間近で見ていただきたいと思います。
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 そして西洋庭園にある安田侃(かん)とオシップ・ザツキンの彫刻を拝見して、家路につきました。
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 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2012-04-02 08:16 | 東京 | Comments(0)
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