浜離宮編(4):旧安田庭園(10.11)

 さあそれでは旧安田庭園へと移動しましょう。JR浜松町駅から山手線に乗って秋葉原で中央線に乗り換え、両国駅で下車しました。さすがは国技館の最寄り駅、構内には三重ノ海や長谷川など力士の大きな写真が飾られています。八百長問題や新入りへのいじめなど大きな問題を抱える相撲、いっそのこと"国技"という大看板をはずして一から出直したほうがいいのではないかな。ま、別に興味はないのでどうでもいいのですが。1929(昭和4)年竣工のこの駅舎もなかなかいいですね、大きな三つのアーチ窓と時計がいいアクセントになっています。
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 国技館の前を通り過ぎると、その屋根を模したご当地電話ボックスがありました。
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 そして歩いて数分で旧安田庭園に到着、嬉しいことに入園は無料でした。ここは江戸時代においては、本庄氏(常陸笠間藩)の下屋敷で、安政年間に、隅田川の水を引いた潮入回遊庭園として整備されました。1889(明治22)年に、安田財閥の祖である安田善次郎の所有となり、1922(大正11)年、彼の遺志にもとづき東京市に寄贈され、現在に至ります。今はポンプにて人工的に潮入が再現されているとのこと。それでは散策を始めましょう。変化に富んだ形の心字池を中心とした池泉回遊式庭園で、移動するにつれて眺望がさまざまに移り変わる、それほど大きくはないのですが歩いて楽しい庭園です。心字池の向こうにそびえる、ドームが印象的な円形の建物は両国公会堂(現在は閉館)。1926(大正15)年に、安田財閥の寄付により、森山松之助の設計によって建てられました。森山松之助…聞いたことがある建築家だな。ウィキペディアで調べてみると、日本統治時代の台湾で活躍した建築家で、台湾の多くの官庁建築を手がけたことで知られるそうです。代表作は、台湾では旧総督府専売局、国内ではここ両国公会堂・旧蜂須賀邸(現存せず)・片倉館・東京歯科医学専門学校(現存せず)。片倉館といえば、以前に訪れたことがありますが、知る人ぞ知る銭湯建築の傑作ではありませんか。へえ、彼の設計だったんだ。また建設中のスカイツリーの凡庸な姿も眺めることができました。完成したら、東京で一番好きな場所はスカイツリー一階のレストランだという方が増えるのではないでしょうか。
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 途中には大きな三尊石組がありますが、池が迫っているので正面から眺めることはできません。前掲書では、昔はここに滝があり、舟で蓬莱島(中島)に渡った殿さまが、池越しに滝とその背後にあるこの石組を見るという構図だったのではないかと推測されています。なるほどねえ、往時の庭を空想で復元するという楽しみ方もあるのですね。そして太鼓橋へ、このあたりは真赤に色づいた紅葉が綺麗です。
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 その先にあるイチョウは眩いほどに色づいていました。州浜に出ると、大きな飛び石と雪見灯籠、そして水鳥が群れ遊ぶ心字池とそれをとりまく木々があいまって、なかなか絵になる光景です。
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 苑路の分岐点にある灯籠も、それぞれ個性があり、見ていて飽きません。このあたりに現代彫刻のような異形の庭石がありました。
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 そして両国公会堂の前を通り過ぎ、人の身丈を越える巨大な石灯籠の近くには、推定に沈む飛び石がありました。浜離宮とは違い、人工的に水位を上下させているので、時間帯によっては水面に顔を出して歩けるのかもしれません。そして両国駅から家路につきました。
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 というわけで鮮烈な紅葉に出会えなかったのは残念ですが、三者三様それぞれに面白うございました。あらためて江戸の庭園文化の素晴らしさと、その多くを破壊して一顧だにしない近現代東京人の識見のなさに感じ入った次第です。田中氏曰く、「大名屋敷の一割でも残っていれば世界遺産に値する」、異論はありません。これからもその残欠を落ち穂拾いしていきたいと思います。次は、新江戸川公園、甘泉園公園、椿山荘、有栖川宮記念公園、池田山公園、戸越公園かな。金がかからず、人に迷惑をかけず、環境を破壊せず、楽しく健康にも良い最強の暇潰し、それは、さ、ん、ぽ。石川や浜の真砂は尽きるとも世に徘徊のネタは尽きまじ。

 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2012-04-06 06:20 | 東京 | Comments(0)
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