「暴走した原発が核兵器であり、コントロールされた核兵器が原発である」とどなたが言っておられました。どこでいつ巨大地震が起こるのかまったく予測できないこの火山列島に、ぼこぼこぼこぼこと核(原子力)発電所を林立させた原子力マフィアたち。言うまでもなく、原子力という利権にむらがり、あるいは核武装を夢見る官僚・政治家・財界・学界・メディアの方々のせいで日本という国は、奈落の底へ落ちる未曾有の危機に立たされてしまいました。原発が立地している場所で次なる巨大地震が起きたら…核兵器と化した原発がどのように暴走しどのような凄惨な被害をもたらすのか。想像しただけでも肌に粟が生じます、いやほんとに。「原発の闇を暴く」(広瀬隆・明石昇二郎 集英社新書0602B)の書評でも触れましたが、例えば六ヶ所村の再処理施設でシビア・アクシデントが起きたら文字通り日本消滅です。居ても立ってもいられず、昨日の月曜日、「さようなら原発10万人集会」に参加してきました。
最高気温は33度という真夏日、午後一時ごろ山ノ神と共に代々木八幡駅におりたち、ちらほらと流れる人の波に乗って代々木公園方向に歩いていくと、交差点のあたりで巨大な人の波と遭遇しました。無数の旗からすると、労働組合の方々でしょう。熱気にあふれる人の波をかきわけかきわけ、やっとのことでメインステージにたどりつくとこちらも人・人・人、あまり労働組合の旗が見られないので一般市民が中心のようです。 われわれが着いた時には大江健三郎氏がスピーチをしている最中でしたが、その前には坂本龍一氏・鎌田慧氏・内橋克人氏ら呼びかけ人による訴えがすでにあったようです。そして落合恵子氏・澤地久枝氏・瀬戸内寂聴氏とスピーチは続き、広瀬隆氏の発言となりました。「東京に原発を!」(集英社文庫)を読んで以来、原発に関する私の蒙を啓いてくれた恩人です。氏は、巨大地震の危機が切迫している現在、とにかくすべての原発を廃炉に追い込むことが最重要にして喫緊の課題であると力説。そのためにはここに集ったような市民が経済的な勢力として、電力会社と交渉し、原発からの撤退を呑ませるための条件闘争を行なうべきではないかと主張されました。例えば、中小企業への配慮をした上で、電気料金値上げに応じるとか。広瀬氏らしからぬ発言ですが、それくらい事態は切迫しているのかと思うと背筋がぞっとします。そして大飯原発現地から中嶌哲演氏の、福島から神田香織氏の発言で閉会。この後パレードとなりますが、疲労のため不参加としました。 主催者が発表したところでは、参加者は17万人。(警察当局の集計では約7万人) 子供たちの末来を救うため、末来に希望を繋ぐため、これだけ多くの人びとが行動を起してくれたこと。それをほんとうに嬉しく思います。やはり憎悪ではなく、希望によって、多くの人たちと結び合いたいものですね。まだまだ闘いは始まったばかり、途中で力尽きぬよう、粘り強くリラックスして(時々休みながら)行動と発言を続けていきたいと思います。己の鞭撻のためにも、勇気を与えてくれる言葉の数々を備忘として記しておきました。 市民の足による投票は選挙の一票よりも有効な時がある。(レーニン) 人民の行進は力の集団表現である…モーゼ以来。(ジョアン=ペドロ・ステディレ) 暴力をもってしても、犯罪的行為をもってしても、社会運動をおしとどめることはできない。歴史はわれわれの側にある。歴史をつくるのは人民なのだ。(アジェンデ) 誰も敗者とならぬ戦いに参加しよう。たとえ死が訪れても、その行ないは永遠なり。(ウィリアム・モリス) 犠牲者になるな。加害者になるな。そして何よりも傍観者になるな。(unknown) われわれの戦いの見込みのないことは戦いの意味や尊厳を少しも傷つけるものではない。(V・E・フランクル) 私たちが負けつづける限り、権力はいつまでも勝っておらねばならない。強者には一度の負けが決定的だが、弱者には負けることを止めたときが敗退なのだ。(金時鐘) 人類は子どもに対して最善のものを与える義務を負う。(新渡戸稲造) もし、我々が空想家で、救いがたい理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう。その通りだ、と。(チェ・ゲバラ) 登れない丘はない。渡れない谷はない。(インドネシアの諺) ぐまさんはいがどぅーってんぬまりーみ? [小さい針をバカにするが、それを飲み込むことができるか?] (沖縄の俚諺) 人間は滅び得るものだ。そうかもしれない。しかし、抵抗しながら滅びようではないか? そしてもし虚無が我々のために保留されてあるとしても、それが正しいというようなことにはならないようにしよう。(セナンクゥール) 平和とは、潜在的な力が黙々として邪悪なものに対して収める持続した勝利のことである。(ポール・ヴァレリー) 人類は存続することを望む限りにおいてのみ存続するだろう。(サルトル) 最高の愛国心とは、あなたの国が不名誉で、悪辣で、馬鹿みたいなことをしている時に、それを言ってやることだ。(ジュリアン・バーンズ) 歴史から学ぶことのない人は、その歴史を再度生きることを運命づけられている。(ヨハン・ガルトゥング) わたしのゆきたいところはどこか。この世ではなく、あの世でもなく、まして前世でもなく、もうひとつのこの世である。(石牟礼道子) 無関心の名の、心に着せた外套を脱ぎ給え。手遅れにならぬうちに、決断を。(「白ばら」のビラ) 公僕達に鼻の先で笑われる程度の「ご主人さま」ではなくて、公僕達に敬意を払われるような「ご主人さま」になる―そのように、国民が成熟する以外、民主主義の生きる途はないのです。(橋本治) 本日の三枚です。
by sabasaba13
| 2012-07-17 06:19
| 鶏肋
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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