そして三重塔の裏手にある小高い道に出ると、そこは塔越しに街並みや海や向島を一望できる絶好のビュー・ポイントです。♪C'est si bon♪と鼻歌を歌いながら写真を撮りまくりました。その先にあるのが、アララギ派の歌人中村憲吉が1933(昭和8)年12月から翌年5月に逝去するまで療養していた家です。内部の見学はできませんが、置いてあったパンフレットに「子供らは崖の上なる古寺にどやどや登り帰り来れり」という歌がありました。病魔に蝕まれ病床に伏す彼は、子供たちの歓声と足音をどんな気持ちで聞いていたのでしょう。その近くには、七分咲きの桜がありました。この上にある千光寺公園はサクラの名所ということなので、期待しましょう。桜もいいのですが、中村憲吉旧居の生垣から息吹く鮮烈な若葉の緑も素敵ですね。
そして千光寺に到着、「うきわれを寂しがらせよ閑古鳥」という芭蕉の句碑がありました。左に歩いていくと「文学のこみち」、尾道に縁のある文人墨客たちの句碑や詩碑が林立しています。途中にあった巨岩は名勝「鼓岩」。解説によると、岩の上を小石で打つと「ポンポン」と鼓のような音がするそうです。やらいでか、最上部に行くとちゃんと鎖につながれた小石がセッティングされていました。さっそく叩いてみると…うーん、鼓の音に聞こえるような気もしないこともないような…
その先には尾道市立美術館、香月泰男展が開催されていますが、これからの旅程を考えるとカットせざるをえません。後ろ髪を引かれるように歩いていくと千光寺公園に着きました。巨大なゴミ捨て場がつくられており花見の準備は万端なのですが、肝心の桜はつぼみの状態。無念、再訪を期しましょう。
無料の展望台に上がると、尾道の街並み、尾道水道、向島を手に取るように一望できる最高のビュー・ポイントです。湿度が高いためか、いまひとつ視界がクリアでないのが惜しいのですが、贅沢は言いません。♪What a wonderful world♪と鼻歌を歌いながらパノラマ写真を撮りました。
展望台から下りてロープウェー駅へ向かうと、ここで会ったが百年目、盲亀の浮木、優曇華の花、「
恋人の聖地」のプレートがありました。以前に
福岡タワーで発見して"たまげた駒下駄日和下駄"し、
伊良湖岬でも見つけたので、今回で三件目です。「なんじゃそれは?」とおっしゃる健全な方々のために説明しますと、「恋人の聖地 NPO法人地域活性化支援センターが、平成18年4月より地域活性化および少子化対策として、各地を代表する公共的な観光施設・地域を中心に認定。プロポーズに適したロマンティックな観光情報発信および、参加型イベント等を実施しています」というしろものです。やれやれ、「恋人たちよ、ロマンティックな場所を教えてしんぜよう」という手取り足取り腰取り的な余計なお世話ですね。
本日の三枚です。