瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)

 そして三十分後に集合、係員に引率されて、まずは美術館の前にある、古い民家を移築した「イサム家(や)」の外観を見学。ここは彼が牟礼を訪れた時に住んでいた家です。窓から覗きこむしかないのでよく見えないのが残念なのですが、彼がデザインした「あかり」や洒落た調度品を垣間見られます。そして後半の三十分は彼が設計した庭園を自由に見学。石で表現した川と滝、月見台、その先には巨大な土饅頭のような丘がつくられています。天辺に上がると、屋島が一望できる見事な眺望、背後をふりかえると五剣山。彼が世界で最も好きだった場所だと言ったそうです。そして中央には高さ2mほどの卵形の巨石(岡山産安成石)が置かれ、屋島の方を沈黙しながら凝視しています。彼はこの石が大好きで、死ぬ直前に「二つに割って中に入りたい」と言ったそうです。石になって、地球と一つになりたかったのですね。二度目ですが、今回も濃密な、凝縮された、そして心躍る一時間でした。山ノ神もご満悦の様子、ほんとうに来てよかったと思います。
 さて帰りは、往路とは違った道を歩いてみましょう。まずは史跡「駒立岩」、那須与一が見事、扇の的を射抜いたところです。その隣にあった、寄棟下見板張り二階建の木造建築がちょっと気になる物件でした。窓ガラスに×の字にテープが貼ってあるのが意味深です。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6224941.jpg

 近くにあったマンホールの蓋は、那須与一と椿の意匠でした。このあたりも石材店が櫛比し、石造物や石の彫刻を門前に飾るお宅も散見されます。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6231994.jpg

 「盗難品」というポスターには、盗まれた石のふくろうの写真が載せられていました。心無い行為ですね。電信柱に「へんろみち」「歩きへんろ道」というステッカーが貼ってありましたが、さすがは四国です。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6234246.jpg

 そして史跡「弓流しの跡」を拝見。義経が海上で弓を落とし、平家方に拾われて「こんな張りの弱い弓を使っている」と嗤われるのを恐れたため、危険を犯して拾い上げたという逸話ですね。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6241328.jpg

 ある石屋の店頭には、大きな石の上に仁王立ちになり紺碧の瀬戸内海を見下ろす石工の素敵なポスターが飾ってありました。いいなあ、自分が何をしているんだかよくわからない職業が多い中、"自然を相手に石を切り出す"という確固とした揺るぎない仕事をしているという誇りに満ち溢れていますね。その先にあった体験入浴場の名前は「無死不老(むしふろ)」、なんともザッハリッヒカイトなネーミングです。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6243560.jpg

 源平屋島合戦古戦場の碑を見て、すこし歩くと八栗駅に到着です。ここから志度行きの列車に乗って八分ほどで塩屋駅に到着。駅のすぐ隣に、学校らしき廃屋がありました。横に細長い寄棟下見板張りの平屋で、洋風の車寄せが印象的な建物、一見して只者ではないとわかるのですがその由緒は不明です。ご教示を乞う。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_625243.jpg


 本日の一枚はイサム家です。
瀬戸内編(24):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)_c0051620_6252398.jpg

by sabasaba13 | 2012-08-28 06:26 | 四国 | Comments(0)
<< 瀬戸内編(25):ジョージナカ... 瀬戸内編(23):イサム・ノグ... >>