甲斐路編(4):富士急行(11.5)

 さてそろそろ発車の時間、ホームに行くと車両に"SISTER RAILWAY"、"matterhorn gotthard bahn"、"fujikyu"と記されています。
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 へえ、マッターホルンの鉄道会社と姉妹提携しているのか。ちょっとインターネットで調べてみましょうか、なになに。1991年、富士急行とBVZ鉄道(現マッターホルン・ゴットハルト鉄道)は、「真心」「信頼」「安全」「実行」という社訓の一致、および世界の名峰に深いかかわりをもつ国際観光地であるという共通性を理由に、姉妹鉄道提携をしたそうです。マッターホルン・ゴットハルト鉄道(MGB)はブリークとツェルマットを結ぶ鉄道で、サンモリッツ・ダヴォスのような観光都市を沿線に持たなかったことなどから経営的に苦しく、2003年にツェルマット鉄道(BVZ)に合併され、同時に社名をマッターホルン・ゴッタルド鉄道へ変更しているそうです。そういえば、2010年7月23日にこの鉄道で氷河特急が脱線横転し、1人が死亡し、42人が重軽傷を負った大事故がありました。「信頼」「安全」が聞いて呆れますが、経営不振や合併のために、整備の手抜きや乗務員の過重労働があったのかもしれませんね。『私物化される世界』(ジャン・ジグレール 阪急コミュニケーションズ)の一節を思い出しました。
 つい最近まで、スイスは公共サービスの質に関しては定評を得ていた。しかし、議会の超自由主義的な多数派がこれに終止符を打った。スイス国有鉄道(SBB)-これは19世紀末に(スイスアルプス)ゴットハルト峠の下、レッチュベルク-シンプロン間にトンネルが建設されてからは国民の誇りであった-が国の手を離れて、民間の株式会社に衣がえされた。同じ運命が通信分野をも襲った。かつては、無数の支局をもち、信じられないほどのサービスを手頃な価格で提供したスイス郵便ももはや国有会社ではない。性急な民営化の結果、スイスの村々では郵便局が閉鎖される。手紙を一通、あるいは小包を一つ出すために、または払い込みを済ませるために、これからはまだ閉鎖されていない数少ない局へ行って、延々と続く長い列に並ばねばならない。鉄道の利用者もまた、ジュネーブのコルナヴァン駅で乗車券を買おうなどという愚かな考えを起こすと、同じような面倒に出くわすことになる。(p.97)
 新自由主義の餌食にされた鉄道会社かもしれません。富士急行が同じ轍を踏まないよう衷心から祈っております。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2012-09-24 06:17 | 中部 | Comments(0)
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