大井川鐡道編(3):蓬莱橋(11.5)

 路地に入ると、鳥居のある、神社と民家が一体化したような不思議な物件を発見。もしや現人神の方がお住まいになっているのでしょうか。踏切を渡ろうとする直前に遮断機が下り、長い長い貨物列車が通過していきました。その力強い地響きに身と心を委ねていると、得も言われぬ高揚感が湧きあがってきます。これがあるから東海道本線は大好きです。
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 踏切を渡り、五分ほど走ると大井川の川辺に到着です。おお素晴らしい、大井川とその広大な河原に、質朴な長い木橋が架けられています。これが蓬莱橋ですね。ただただ向こう岸に渡りたいという純な思いがそのまま具現化したような、古武士のような剛毅な風情には胸を打たれます。全長897.4m、世界一長い木造歩道橋としてギネス・ブックにも認定されているそうです。時は1869(明治2)年、徳川慶喜の家臣たちが大井川右岸の牧ノ原台地を開拓し、筆舌に尽くしがたい苦労の末、茶の栽培に成功しました。しかし生活用品や食料品は島田の町で購入せざるをえなかったため、危険を冒して小舟で大井川を渡っていました。そこで静岡県令の許可を得て、関係者の出資により1879(明治12)年に完成したのがこの蓬莱橋です。その後、たびたび増水による被害を受けましたが、コンクリートの橋脚に変えたり復旧工事をしたりして今に至るそうです。なお当初より、関係者以外からは通行料金を取っていたため、現在でも有料の賃取橋です。それでは敬意を表し渡らせていただくことにしましょう。渡橋料金は100円、同額で自転車でも渡れるとのことですが、せっかくなので歩いて渡ることにしました。なお嬉しいことに、原動機付自転車以上の車両は通行不可。これで束の間ですが、あの無粋な輩の姿を見なくて済みます。橋の前にある受付で渡橋料金を支払い、歩を進めましょう。大井川とその広大な河原、遠くの山なみ、そして延々と延びる木橋。いつかこんな光景を見たような気がするという既視感に襲われる、妙に懐かしい気持ちです。すれ違う老人や子供たちから挨拶をされるのも、面映ゆいのですが心あたたまりました。なにか、出会う人すべてに親切にしてあげたくなるような気分になってきます。車やバイクが走っておらず、広漠とした自然の中で、人と人が歩いてすれ違えば、自ずと挨拶が交され親切心が湧いてくるのかもしれませんね。ほんとうは向こう岸まで歩きたかったのですが、爾後の旅程を考えるとそうのんびりとはしていられません。大井川の真ん中で引き返しました。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2012-10-15 06:15 | 中部 | Comments(0)
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