大井川鐡道編(13):アプト式鉄道(11.5)

 そしてホームに赤と白に塗りわけられた小さな可愛らしい列車が入線、なるほどこりゃ軽便鉄道なみの小ささだ。やはりトンネルに合わせてこうせざるをえなかったのでしょう。中に入ると座席が片側一列、片側二列で、それぞれボックスシートになっています。
c0051620_1532597.jpg

 なお進行方向に向って右側の座席の方が眺望が良いという情報を得ていましたが、あっという間に埋まってしまい左側にしか座れませんでした。まあ座れただけでも諒としましょう。さあ出発進行! 大井川に沿って、車体をきしらせながら、よいしょっよいしょっ、なんだ坂こんな坂と急勾配を上っていきます。
c0051620_15331712.jpg

 そして十五分ほどでアプトいちしろ駅に到着です。ここから次の長島ダム駅までが、お待ちかねのアプト区間。アプト式鉄道またはラック式鉄道とは、レール中央に敷設した歯型のレール(ラックレール)と車両下部に設置した歯車(ピニオン)を噛み合わせて急勾配を上り下りする鉄道です。信越本線の横川-軽井沢間が廃線となった今、唯一残っているのがここ大井川鉄道井川線。しかし意外なことに開業は1990年と新しく、長島ダム建設に伴い一部区間が水没することになったために新設したそうです。ちなみにその勾配は90‰(パーミル)、水平距離1000mに対して垂直距離90mを持つ日本一の急勾配です。なお世界一の急勾配はスイスのピラトゥス鉄道で、その勾配はなんと480パーミル! 上には上があるものです。そうそう、昨日観光案内所で、「全国登山鉄道‰(パーミル)会」というパンフレットをいただきました。曰く、全国の私鉄のうち観光地が沿線にあり、かつ登山鉄道としての性格を有している鉄道会社(ケーブルカーは除く)が手を結び山岳路線の魅力をお伝えしていくのだそうです。後学の為に挙げておきますと、神戸電鉄(湊川~有馬温泉 最急勾配50‰)、叡山電車(出町柳~鞍馬 50‰)、富士急行(大月~河口湖 40‰)、南海電鉄(橋本~極楽橋 50‰)、大井川鐡道(千頭~井川 90‰)、箱根登山電車(小田原~強羅 80‰)。私が乗っていないのは富士急行の大月~河口湖間だけか、と♪空に灯がつく通天閣に俺の闘志がまた燃える♪のでした。
 車掌さんから「急勾配専用のアプト式電気機関車を連結するので見学される方はホームへどうぞ」というアナウンスがありました。そうです、この区間だけ列車の最後尾に特別な機関車を連結して、急勾配を押し上げるのですね。さっそくカメラを持ってみなさんとともに下車して、最後尾に行くと、なるほどレールの真ん中にラックレールが設置されています。そして向こうから、ひとまわり大きいアプト式電気機関車がしずしずと近づいてきました。ロゴマークはもちろんピニオンとラックレールの意匠です。高まる緊張感(というほどのことではありませんが)、ぐぅわしゃん、連結完了です。
c0051620_15335467.jpg

 ふたたび列車に乗り込み、さあ出発進行。体でも感じることのできる90‰の急勾配を、歯車を噛み合わせながら列車は力強くのぼっていきます。もちろん列車内で体感するのもいいのですが、蒸気機関車と同じで、やはり上っていくその姿を眺めてみたいものです。今回の旅では時間の関係で無理ですが、いつの日にか途中下車して急勾配を上る列車を見てやるぞと、♪あの手この手の思案を胸に♪しました。
c0051620_1534895.jpg


 本日の二枚です。
c0051620_15343275.jpg

c0051620_15344495.jpg

by sabasaba13 | 2012-10-26 15:35 | 中部 | Comments(0)
<< 大井川鐡道編(14):尾盛駅(... 大井川鐡道編(12):奥泉駅(... >>