九州編(15):高千穂峡(11.9)

 やがて車は細い坂道を下り、玉垂れの滝を通り過ぎると高千穂峡に到着です。おっ歌碑があるぞ、誰のでしょう。一つは若山牧水の「幾山河越えさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく」。彼は宮崎県出身だったのですね。解説によると、この歌は牧水22歳、三度目の帰省の途中、中国地方を廻った時につくったものだそうです。もう一つは北原白秋の長歌と反歌。亡くなる前年に高千穂峡を訪れた時につくった歌で、死の予感があったのでしょう、長歌の中に「我はや死にせむ、この道半ば」という下りがありました。
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 さてそれでは高千穂峡に沿った遊歩道を歩きましょう。運転手さんと車は終点のところで待っていてくれるとのこと。数分ほど歩くと、真名井の滝を眺められる展望台がありました。実は以前にも訪れたことがあるのですが、あいにくの雨模様でした。今回は光と影に彩られた神秘的な風景を満喫する事ができ、大満足。阿蘇山が噴出した火砕流が、五ヶ瀬川に沿って帯状に流れ出し、急激に冷却されたためにできた柱状節理の見事な懸崖と渓谷。そこに清楚に流れ落ちる真名井の滝。ほんとに絵になる風景です。なお大雨の影響で水嵩が増し、ボートによる遊覧はできませんでした。ここから渓谷美を堪能しながら、よく整備された遊歩道を進みます。
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 周囲を睥睨する高さ70mの仙人の屏風岩、そして五ヶ瀬川の幅が最も狭くなっているところが槍飛。天正年間、三田井城が落ちた際に、脱出した武士たちが槍を使って向こう岸に飛び渡ったところだそうです。
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 また河床のくぼみにはまった小石が渦巻きの回転によって抉った甌穴(おうけつ)、寛政の三奇人の一人・高山彦九郎が名づけた「神硯(みすずり)の石」もありました。なお運転手さんに教えてもらった、三つの橋が同時に見えるポイントも発見。
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 そして遊歩道は終点へ、待っていてくれたタクシーに乗り込みました。なお真名井の滝からここまで徒歩十五分ほどでした。最後の訪問場所は高千穂神社、途中で渡った高千穂大橋からの眺望も良いとのことなので、車を停めてもらい写真を撮りました。
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 大橋から神社までは数分、まずは「高千穂夜神楽うづめの舞」像がお出迎えです。鳥居のところには、「皇室関係御成」という参拝した天皇家の方々を記した高札が誇らしげに掲げられていました。
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 石段を上ると、森閑とした雰囲気の中、杉の巨木が林立しています。根元がつながっている二本の杉が「夫婦杉」、源頼朝の代参として参詣した畠山重忠手植えの杉が「秩父杉」。
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 なお頼朝が寄進した鉄製の狛犬は重要文化財に指定されていますが、拝殿の中にありガラス越しでしか見ることができません。本殿回廊にある、悪神「鬼八」を退治している主祭神・三毛入野命(ミケヌノミコト)の像、創建の際に用いられたという鎮石(しずめいし)、夜神楽が演じられる神楽殿を拝見して、バスセンターに戻ってもらいました。料金は二時間貸し切りで8000円。
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 本日の五枚です。
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by sabasaba13 | 2013-02-07 06:21 | 九州 | Comments(0)
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