九州編(30):肥薩線(11.9)

 そして15:29 に真幸(まさき)駅に到着、ここで五分間停車となります。付近の方々が出迎えてくれて、地元の物産を販売していました。駅舎も古い木造(1911年開業)のもので、きれいに整備されているのが印象的。地元の方々のボランティアによるものなのでしょう。駅舎内には「世界遺産《肥薩線》夢を追って走ろう」というポスターが掲げられていました。
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 ホームにある巨石は「山津波記念石」、"昭和47年7月6日午後1時45分頃山津波が発生、約30万立方メートルの土砂が流出した。この岩塊は当時の山津波で流れ出たものを現地でそのまま山津波記念石として保存するものである。尚、この石塊は重さ約8トンである。"という解説がありました。ウィキペディアによると、死者4名、負傷者5名、住家28棟が流出したそうです。その後、付近の世帯全戸は移転、このあたりは無人地帯となりました。岩塊に触れて、大自然の猛威をあらためて痛感。なおそうした災害にちなんでか、「幸せの鐘」が設置してありました。「ちょっと幸せの方は一回 もっと幸せを願う方は二回 いっぱい幸せの方は三回鳴らしてください」とあったので二回鳴らしましたが、やはり宮沢賢治が言うように"世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない"(『農民芸術概論綱要』)と考えたいものです。
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 なお牛山隆信氏の「秘境駅へ行こう!」では第39位にランクされています。そして出発進行、列車は駅で一度目のスイッチバック、そして斜面をすこしのぼったところ二度目のスイッチバック、そう、逆Z型に二回スイッチバックを行います。眼下には真幸駅が見え、地元の方々が手を振ってくれました。
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 そして数分ほど走ると、列車は停止、そう日本三大車窓のビューポイントです。雄大な霧島連山と、それに抱かれるようなえびの盆地を一望できる、胸のすくような景色を堪能。桜島もかすかに見えましたが、開聞岳までは見えませんでした。なお残りの二つは、長野県の篠ノ井線・姨捨駅と北海道の根室本線・狩勝峠(旧線のため廃止)だそうです。肥薩線で最長(2,096m)の矢岳第一トンネルを抜けると矢岳駅に到着、ここでは六分間の停車です。標高536.9mに位置する、肥薩線でもっとも高い場所にある駅ですね。こちらでは地元の方々のお出迎えはなく、閑散とした雰囲気。1909(明治42)年竣工の古い木造駅舎が、寂しげに佇んでいました。
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 なお、かつてこの矢岳駅の周辺には、肥薩線最大の難工事といわれた「矢岳トンネル」の工事関係者が多数住んでおり、その数は当時の村民より遙かに多かったそうです。駅構内にある人吉市SL展示館には「D51 170号」が保存されており、入口には矢岳第一トンネルを抜ける運転手になりきれる顔はめ看板がありました。ホームには朝顔の形をした石鉢がありましたがこれが噂の湧水盆、蒸気機関車がトンネルを抜ける際の煤で真っ黒になった顔を洗うためのもの。なお牛山隆信氏の「秘境駅へ行こう!」では第51位にランクされています。
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 本日の五枚です。
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by sabasaba13 | 2013-02-26 06:18 | 九州 | Comments(0)
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