九州編(40):水俣(11.9)

 それでは親水護岸へと向かいましょう。途中に広い埋め立て地がありましたが、これは水俣湾に堆積した水銀を含むヘドロで埋め立てられたものです。前掲書から引用しましょう。
 広さ58.2haの埋立地の下には、水銀濃度25ppmを上回る汚泥約151万立方mがある。水俣病の"爆心地"百間排水口のすぐ近くに竹林園が造られ、そこからエコパーク水俣が"巨大な産業廃棄物捨て場"を覆い隠すように親水護岸まで広がっている。
 その先にあるのが親水護岸、恋路島を眼前に眺められる護岸遊歩道です。ん? ハート型のオブジェがあるぞ、これはもしや… 近づいてみると、やはり「恋人の聖地」でした。
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 "NPO法人地域活性化支援センターが、平成18年4月より地域活性化および少子化対策として、各地を代表する公共的な観光施設・地域を中心に認定。プロポーズに適したロマンティックな観光情報発信および、参加型イベント等を実施"するという、余計なお世話的プロジェクトですね。詳しいことを知りたいというお暇な方は、http://www.seichi.net/をご覧ください。なお目の前に優雅に横たわっている恋路島には、戦のために海を渡った若き武将と、夫の無事を祈り続けたその妻の美しい恋の物語が伝えられているそうです。なお近くには「封じ込められた魚たち」という解説板があったので、転記しておきます。
 水俣湾内の仕切網内側で捕獲された水銀値の高い魚たちは、「汚染魚」としてドラム缶に詰められ、この地に眠っています。埋立工事の頃、この場所には、水銀ヘドロと一緒に吸い込んだ水を浄化する施設がありました。水俣湾埋立地は平成2年(1990)に完成しましたが、人間による高度成長の犠牲となった海の生物にとって、無念の最期であったと思います。この地を、埋められた魚に留まらず、鳥、猫、そして人間の「生命」を犠牲にした場所として、心に残してください。
 帰郷後、『写真集 水俣 MINAMATA 』(W.ユージン.スミス/アイリーンM.スミス 三一書房)を読んだのですが、その中でユージン.スミスは次のように言っています。"GNPの名のもとに汚染する神授権はない" そして水俣の人びとの闘いに、"第一次産業革命とともにはじまった略奪からわれわれの子どもたちを救うかもしれない力、勇気という魂の力"を見出したとも。これも水俣から学ばなければならない大いなる教訓ですね。「経済成長」を怒号しながら、核(原子力)発電再稼働につっぱしり、多くの生命を脅かそうとしている政官財学報=原子力マフィアの皆々様、学ぶ気は…ないだろうなあ。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2013-03-11 06:19 | 九州 | Comments(0)
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