スペイン編(1):前口上(11.12)

 2011年の冬、団体旅行でスペインに行ってきました。基本的に個人旅行を好むわれわれ二人ですが、料金・手間隙・渡航先の状況を鑑みてパック・ツァーを選択することは吝かではありません。今回は、かなり料金が安かったことと、どうしても見たかったアルハンブラ宮殿の入場が一般客には難しそうに思えたことが、その理由です。スペインは…えーと、たしかバルセロナ・オリンピックの前年だから1991年に、やはり団体旅行でバルセロナ、マドリード、トレドを訪れたことがあります。今回のツァーは名づけて(私が名づけたわけではありませんが)、ドラム・ロール…ジヤン 「マラガで憧れのパラドールに泊まる! スペイン満喫8 もってけ泥棒!(これは嘘)」、マドリード→コルドバ→セビリア→マラガ→グラナダ→バレンシア→バルセロナを八日間でまわるというお決まりの強行軍。さあ吉とでるか凶とでるか、いづくにかたふれ臥とも萩の原、とりあえず行ってみましょう。持参した本は、『アメリカの鏡・日本』(ヘレン・ミアーズ 角川oneテーマ21)と『アジアはなぜ貧しいのか』(鶴見良行 朝日選書211)です。

 2011年師走の好日、成田空港で搭乗、アリタリア航空でローマ・フィウミチーノ空港をめざします。天気は曇り、途中で雲の切れたあたりで雲海の上に頭を出す富士山と、ハート型の湖、そう渡良瀬遊水地が見えました。あの下に谷中村が埋められてしまったのですね、ふと「棄民」という言葉が脳裡をよぎりました。「国益」のために民を棄てるのが、日本の近現代史を太く貫く治者たちの行動準則ではないでしょうか。そして今まさに福島の人々が棄てられようとしている…暗澹たる思いで空からこの列島を眺め続けました。
 そして搭乗すること約13時間、現地時間の午後九時過ぎにローマ・フィウミチーノ空港に無事着陸しました。ここからマドリード・バラハス空港へと向かう飛行機の出発は、二時間後。時差ぼけを一発で解消するために眠るわけにはいかないので、空港内をぶらつき、エスプレッソを飲んで頭をキックし、椅子に座って本を読み時間をつぶしました。そして搭乗口の待合室に入ると、さすがはイタリア、いろいろな種類をとりそろえたアイス・クリームとコーヒーの自動販売機が鎮座しておりました。"ESPRESSO LUNGO"? イタリア語を少々かじっている山ノ神に訊くと、「ルンゴはロングよ」。なるほど、それでは何故同じ値段なの? 「…」
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 ま、それはともかく、以前にオスロのホテルに泊まった時の事を思い出しました。朝食会場で、イタリア人団体客が珈琲・メーカーのところに雲霞の如く押し寄せて「エスプレッソ」のボタンを押しまくるものだから、とうとう壊れてしまい、そりゃあもう大騒ぎさ。ほんとにイタリアの方は珈琲が大好きなのですね。飛行機に乗り込み、二時間半ほどでマドリード・バラハス空港に到着。空港内にはベラスケスの「ラス・メニーナス」をもじった、エル・コルテ・イングレスのポスターがありました。
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 さて、個人旅行ですと、ここから眠い目をこすり、疲れた足と重い荷物をひきずり、今宵の塒までたどりつかねばならぬのですが、団体旅行ですとバスが待っていてくれます。やはりこれは大助かり、添乗員さんの後に羊のようについていき、待機していたバスに乗り込みました。宿泊するホテル・アウディトリウムは空港のすぐ近く、いかにも団体客向けのだだっぴろい無機質なホテルでした。ロビーで添乗員さんから明日の旅程に関するブリーフィングを受け、鍵をもらって部屋に行き、かるくシャワーを浴びてベッドに倒れ込みました。爆睡…

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2013-06-05 06:22 | 海外 | Comments(0)
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