そしてみなさんと合流し、「受難のファサード」を拝見。こちら側は夕日を浴びて神々しく輝いていますが、装飾が少ないためか少々平板な印象を受けます。その脇にある愛らしい小建築は、ガウディが職人のためにつくった
学校。彼は常々「諸君、明日はもっと良いものを作ろう」と言っていたそうですが、職人たちの協力がなければこの教会は完成しないということを知悉していたのでしょうね。
教会から出て道路を渡り、はい、定番のお土産屋さんへの連行です。
私は店の前で紫煙をくゆらしながら、教会の工事をぼーっと眺めました。巨大なトレーラーからクレーンでつり上げられるコンクリート・ブロック、立ち並ぶ円柱からは鉄筋が顔をのぞかせています。RC構造による突貫工事の様子がよくわかります。
そういえば、ジョージ・オーウェルが『カタロニア賛歌』(新潮叢書166)の中でこんなことを言っていました。
スペイン人がうまくやれるものはたくさんある。しかし戦争はいけない。かれらの能率の悪さ、とくにこっちがおかしくなるほど時間を守らないことには、外国人という外国人が驚かされる。外国人がおぼえざるをえないスペイン語は、マニャーナ「明日」である。口実の見つかるかぎり、今日の仕事はアシタまで延ばされる。(p.16)
また「英国人にとっての地獄は、ドイツ人が警官をし、スェーデン人が喜劇役者で、イタリア人が国防軍を組織、フランス人が道路工事をして、スペイン人が列車を走らせる」というジョークもあるそうです。これらの言を信じれば、スペインの方は戦争と鉄道運営が苦手だとして、建設工事はどうなのでしょうか。ま、余計なお世話ですね。なお後者のジョークに日本人が登場しないので、補足しましょう。「英国人にとっての地獄は、…日本人が高級官僚で、日本人が政治家で、日本人が大企業のCEOで、日本人が裁判官で、日本人が大学教授で、日本人が大手メディア経営者」というのはいかが。この六者が結託・癒着して福島を破滅の淵へと追いやったのですから、リアリティはあると思いますが。
本日の一枚です。