飯田線編(5):中井侍駅・為栗駅(12.4)

 列車に戻り出発、長い長いトンネルを抜けると、次なる秘境駅、中井侍(なかいさむらい)駅(ランキング第27位)に到着です。長野県最南端、トンネルにはさまれ、崖っぷちにへばりついている健気な駅でした。ホームからは天竜川を一望でき、スロープをのぼると列車と一緒に写真におさめられます。さすがは嗅覚に秀でたつわもの諸氏、幾人もの鉄ちゃんが格好の撮影ポイントにおしかけていました。すると列車の前で記念撮影をしていた男性が、両手をあげて「いえーい」と珍妙なポーズ。するといっせいに「チッ」と舌を打つ鉄ちゃん、思わず緩頬してしまいましたが、まあそう邪慳にしないでもいいでしょう。
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 駅に寄り添うように二軒の民家、牛山氏によると、このあたりは天竜川から立ち昇る川霧が茶葉の生育において絶好な環境を供し、香り高く良質な"中井侍銘茶"を産するそうです。お茶を栽培している農家かもしれませんね。またこの駅に至るまでの道は、スイッチバックを余儀なくされるような屈曲した急坂で、軽自動車以外での到達は物理的にも不可能だということです。
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 なお、インターネットでこの中井侍駅に関する、「ちょっといい話」が出回っているそうですので紹介します。昔、中井侍駅の付近に住む女子高生が、飯田市内の高校に合格し、中井侍駅から飯田線で通学することになりました。しかし彼女の通学時間帯に一本だけ走る快速列車は中井侍駅を通過してしまいます。この話を聞いた鉄道当局は、女のために朝の快速を中井侍に停車させることにしました。彼女が卒業する日、次のような車内放送が流れたそうです。「三年間利用してくれてありがとうございました。明日から中井侍へは止まりませんが、これからもがんばってください。卒業おめでとう」 うーん、いい話しだなあ…ほんとだったら。実はこの話、ウィキペディアによると、JR東海や村役場の職員等の確認は得られないとのこと。真偽は藪の中です。もしかすると僻地に暮す人たちは心優しいはずだという、オリエンタリズム的上から目線が紡いだ伝説かもしれませんね。
 そして列車は平岡駅に到着、ここで待ち合わせのため三十分ほど停車します。ツァーのみなさんは駅構内にある土産売り場に群がっておられましたが、私は駅周辺を散策。天竜川に沿って広がる小さな町ですが、ところどころで咲き誇る桜を愛でながらのんびりと散歩を楽しみました。
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 そして次の秘境駅は為栗駅(ランキング第27位)、こちらは全国有数の難読駅名だそうで、"してぐり"と読みます。列車からおりると、眼前を天竜川が悠々と流れる雄大な風景が広がりますが、民家は見当たりません。すこし歩くと吊り橋があり対岸まで歩いていくことができます(自動車は通行禁止)。牛山氏によると、以前は川岸に沿って集落が点在していましたが、下流にある平岡ダムの工事によって水位が上昇したため、大半の人家が水没してしまったそうです。またこのあたりは川が大きく蛇行し、信州(長野県)から遠州(静岡県)へ向かう舟の舳先が進行方向と逆に向くことから、"信濃恋し"と呼ばれた名勝でもあります。
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 本日の三枚、上から中井侍駅、平岡、為栗駅です。
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by sabasaba13 | 2013-08-06 06:17 | 中部 | Comments(0)
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