甲斐路編(2):山梨県立美術館・文学館(12.5)

 2012年の皐月好日、新宿駅から特急「かいじ」に乗って甲府駅に着いたのがお昼頃。不徳のいたすところから、天気は雨模様。駅構内で、ご当地B級グルメ「鳥もつ煮」の顔はめ看板に出会えたのがせめてもの慰めです。駅構内には貴石のモザイクで描かれたミレー作「夕暮に羊を連れ帰る羊飼い」がありました。
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 そして駅前からバスに乗って、十五分ほどで山梨県立美術館に到着。ブールデルの「ケンタウロス」に挨拶をして入口に向かうと、おっこちらでもミレーの「種をまく人」の顔はめ看板がお出迎えです。
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 そう、この美術館は、ミレーを中心とするバルビゾン派のコレクションが充実していることで有名です。それでは入館いたしましょう。ミレーの「種まく人」や「落ち穂ひろい、夏」や「夕暮に羊を連れ帰る羊飼い」などをはじめ、ドービニー、コロー、アルピニーなどバルビゾン派の作品を堪能。彼らが活動した19世紀は、大都市への人口集中と幾度かの革命による市街の荒廃などにより、自然や田園への憧れがわきおこった時代でした。それを反映して絵画においても、風景画や農村・農民を描いた作品が人気を博しますが、それは都会人の眼で見た美化された、甘く楽しいものでした。しかしミレーは、作業や仕事に没頭し専心する農民や人々の姿をひたすら描きます。種をまく人、接木をする人、箕をふるう人、落ち穂をひろう人。自然と一体となって働くその姿態には、神々しささえ感じます。彼の言です。「美は顔貌に宿るものではない。姿態の全体、主題の動作にふさわしいもののなかにおいて輝くのだ」 顔貌にまどわされ、人間を見ようとはしなくなった私たちへの警告のような気もします。
 ミュージアム・ショップで絵葉書とクリア・ホルダーを購入し、外へ出ると雨がやむ気配はありません。雨を浴びてしっとりと輝く新緑を愛で、岡本太郎、ヘンリー・ムーア、ボテロ、オシップ・ザッキンなどの野外彫刻を拝見しました。
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 ついでと言っては失礼ですが、すぐとなりにある山梨県立文学館にも寄ってみました。入口の脇にあったブールデルの彫刻「叙事詩」を拝見して入館。
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 山梨県出身の作家、飯田蛇笏、飯田龍太、山本周五郎、檀一雄、深沢七郎や、山梨県にゆかりのある作家、芥川龍之介、樋口一葉、井伏鱒二、太宰治、中里介山、辻邦生に関する資料が展示されています。いずれも興味深く拝見いたしましたが、もっとも心に残ったのは飯田蛇笏・飯田龍太に関する展示でした。以前から、蛇笏の「芋の露連山影を正しうす」、龍太の「湯の少女臍すこやかに山ざくら」という句が好きでしたが、この二人が親子だったとは! 汗顔の至り、●があったら入りたい気持ちです。この両人、すてきな句をたくさんつくっているのですね。さっそくミュージアム・ショップで『蛇笏・龍太の山河 四季の一句』(福田甲子雄編著 山日ライブラリー)を購入。また、『まちミューガイドブック』の「甲府市旭町周辺編」も買うことにしました。甲府でのハネムーン時代の太宰治ゆかりの地めぐりと、昭和懐かし木造建築見学について、アバウトな地図入りで解説してあるので、これからの徘徊の役に立ちそうです。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2013-09-01 10:25 | 中部 | Comments(0)
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