三平下までは、右手に尾瀬沼や燧ヶ岳を眺めながら湖畔に広がる湿原を歩きます。そして沼尻平から二時間強で到着。こちらには尾瀬沼山荘やトイレがありました。
さてそれでは三平峠をめざしてのぼっていきましょう。ところどころで木道は残雪に埋もれ、倒木などもありましたが、さほどの困難もなく三平峠に着きました。二十分ほどかかったでしょうか。
ここから一ノ瀬休憩所をめざして山道をくだっていきます。途中から残雪も消え、萌えいずる若葉や清らかな渓流を愛でながらハイキングを楽しめました。
三平橋を渡り、食堂とトイレのある一ノ瀬休憩所に着いたのが午後1時45分、三平峠から一時間半ほどかかりました。後は車も通れるような砂利道を歩くこと45分で、駐車場のある大清水に到着です。やれやれ、無事に辿り着くことができました。
それにしてもこの二日間、自動車をまったく見なかった眼には、駐車場を埋めつくし走りまわるきゃつらの存在が禍々しいものに感じられます。最近読んだ宮本常一の『私の日本地図10 武蔵野・青梅』(末来社)に下記のような記述があったことを思い起こしました。
ところが、その道すらが、たえず自動車が通るようになった。それを気にしながらあるくと、話も想念も中断せられてしまう。あるきながら考えるというのは実にいいことである。それができなくなったのである。そのうえ自動車は無礼なものである。歩いている者に思いやりなどしない。若い者の乗っている車だと、わざわざ歩いている方へ寄て来てさらに人を片隅に追いつめて面白がっていくのが多い。(p.250)
とるものもとりあえず、レストハウスに入って珈琲を所望。なんと、こちらでもドリップで入れてくれました。尾瀬全域で協定を結んでいるのかと思い、店の方に訊ねたところそのようなことはないそうです。hospitalityの為せる業でしょうか、有難いことです。
香り高い珈琲を愉しみ、小用を済ませようと公衆トイレに行くと、いかにも尾瀬らしい水芭蕉とニッコウキスゲの
男女表示でした。
そして到着したバスに乗り込み帰郷の途につきました。途中の老神温泉で若いカップルをピックアップしましたが、尾瀬散策+老神温泉というコースを選んだ方でしょう。そして定番通り、沼田の近くにある「原田農園」というお土産屋に拉致されました。手持無沙汰なので煙草を吸いながら付近をぶらぶらしていると、「ゆったり四時間尾瀬ヶ原ハイク」と掲げた大型バスが駐車していました。日帰り尾瀬散策コースですね、なるほど四時間だったら牛首で引き返すわけだ。関越自動車道を走り三芳PAで休憩、「みよし縁日堂」で
ご当地B級グルメ・川越太麺焼きそばをいただきました。そして無事に帰郷。
というわけではじめての尾瀬、素晴らしい自然を満喫することができました。やはり鳩待峠から入って正解でしたね、大清水からだとかなり長い上り道に喘ぐことになります。今度はぜひとも、ニッコウキスゲの咲き誇る初夏に訪れたいものです。
本日の三枚です。