シュテファン寺院の北側には、モーツァルトの葬儀が行なわれた場所を示す記念碑がありました。
中に入って豪華な内陣を拝見、そして有料エレベーターに乗って北塔へとのぼりました。
屋根瓦で描いた鮮やかな紋章を間近で見ることができ、そしてウィーンを一望できる恰好のビュー・ポイントです。旧市街、プラーターの大観覧車、シュピッテラウ焼却場の煙突、アウガルテンの高射砲塔もよく見えました。その近くにあるグロテスクな直方体の物件がレーダー指揮所ですね。こちらも寄ってみるべきだったなと思っても、後の祭り。
巨大な鐘「プンメリン」を撮影して、エレベーターでおり、付近に屯している観光馬車フィアカー(Fiaker)を撮影してグラーベン(Graben)通りへ。
ここにあるのがペスト記念塔、猛威を振るったペストの終息を神に感謝して、1679年、レオポルト1世の命で造られた大理石の柱です。
突き当りを右折し左に曲がったところにあるのがエンゲル薬局、16世紀創業の古い薬局ですが、1902年にユーゲント・シュティール様式に改造されました。モザイクで描かれた二人の天使はオスカー・ラスケ作、入口や窓枠の意匠、手すりの装飾など見どころの多い物件です。
コールマルクト(Kohlmarkt)通りを歩いていると、フレデリック・ショパンが住んでいたという記念プレートのある建物がありました。
ケーキとチョコの名店デーメル(Demel)、アドルフ・ロース作の現代建築ロースハウス(Looshaus)を撮影して、スペイン乗馬学校の前を通り過ぎ、オペラ座の裏手に出るとアルトゥーロ・トスカニーニの記念プレートがありました。
そして本日の打ち止め、音楽館に着きました。音楽をテーマにした体験型の博物館で、楽器の仕組みや有名作曲家の人となりを紹介しています。グスタフ・マーラーの書き込みがある『フィガロの結婚』の指揮者用スコアがあったのには、一ファンとして感無量でした。スクリーンに映るウィーン・フィルを指揮するアトラクションも面白そうでしたが、もうそろそろ空港に行かねば。
路面電車に乗ってシュヴェーデンプラッツ(Schwedenplatz)に行き、空港行きのリムジンバスを待っていると、のてのてと黄色い路面電車が走り抜けていきました。これは、リンクを一周する観光トラムで、専用の乗車券が必要だそうです。黄色い手押し車を押す郵便配達の女性を撮影してバスに乗り込み、ウィーン国際空港に到着。
さきほどシティ・エア・ターミナルで荷物を預けチェックインを済ませてあるので、たいへん楽ちんでした。そして13:30発のオーストリア航空OS-051に搭乗、翌日の7:40に無事成田空港に到着しました。
というわけで、駄弁を弄しましたが、イタリア編ここに一巻の終了です。自然、美術、音楽、食べ物、街並み、さまざまな人との出会い。いつもにもまして楽しい旅でした。やはり自分でつくる旅はいいものですね。来年の夏にはオーストリア旅行をする予定です。
なお、最近私のアンテナがキャッチした旅に関する名言を紹介して、筆を置きましょう。
たまには人を待たせるのもいい。旅とは一種の復讐なのだ。(ポール・セロー)
旅することは多くの利益であり。それは新鮮さを心に、すばらしき事柄につきての見聞、新しき都市を見る悦び、不知の友との会見、高潔なる作法の習得なり。(サーディー)
人は自分の持っているものしか旅から持ち帰れない。(ゲーテ)
歩くことで解決される。(聖アウグスチヌス)
旅は人を謙虚にする-世界の中で自分の占める位置がいかに小さいかを知ることができる。(フローベール)
本日の三枚です。