立山・黒部編(10):上高地(12.9)

 そして上高地のシンボル、河童橋に到着です。バスターミナルから近いということもあり、たいへん賑わっていました。なお上高地に遊んだ芥川龍之介が、小説『河童』(1927)にこの橋を登場させているそうです。なお「河童橋」という呼び名はこの小説以前から使われていたそうで、その昔は橋の下は深淵で、その深みを「河童の渕」と呼んでいたという説、あるいは、昔は橋がなかったために川を渡るには着物を頭にのせて水の中を歩いていき、その姿が河童に似ていたという説など、はっきりわかっていないとのこと。
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 しばらく梓川と穂高がおりなす美しい風景を堪能、川べりで熱心に写生をされている方もおりました。さて、ここから明神池へと往復するのが仁義なのですが、所要時間は約二時間。陽はかげり雲が多くなってきたのは台風の影響でしょう、できるだけ早く駒ヶ根に移動した方が無難ですね。山ノ神の了承を得て訪問は断念、食事をとって松本へ戻ることにしましょう。バスターミナルの近くにある上高地食堂で豚汁定食をいただき、12:00発のバスに乗り込みました。
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 新島々に着いたのが13:05、松本行きの列車が出発するのは二十分後なので、駅前にある喫茶店「プレイエル」で珈琲をいただくことにしました。実は以前にもこちらに入ったのですが、不覚にもショパンの愛したピアノメーカーの名前だと後で気づきました。今回は満を持して乗り込み、ぜひともその由来を訊ねてみたいと思います。中に入ると、アンティークらしきピアノが二台ありました。嗚呼、私の眼は節穴だったのですね。
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 珈琲を注文し、さっそく店員の方に訊ねると、やはりそのうちの一台がプレイエルのピアノでした。オーナーが、あるピアノ・コレクションで出会い、その"まろやかで甘やかで、けがれない"音色に惚れこみ、入手されたそうです。珈琲を飲みながらいただいた資料を読むと、もう一台はエラールというメーカーのものだと分かりました。ここからは耳学問ですが、プレイエルとエラール、フランスの歴史的ピアノメーカーで、ショパンが好んだのが前者、リストが好んだのが後者です。エラールはダブル・アクションを発明し、同音連打や早いパッセージを可能にすると同時に大きな音量を出せるようにしました。よってピアノにおけるオーケストラ的な効果を求めていたリストには必要不可欠なピアノだったのですね。一方、プレイエルはシングル・アクションを搭載、早いパッセージには不向きですが、鍵盤が軽く、最弱音の打鍵でも敏感に反応して繊細な音色を引き出すことができます。ピアノに対して、より繊細なシンギング・トーン(歌うような音色)を探求していたショパンが、このプレイエルを愛したのも宜なるかな。なお詳細についてはこちらをご覧ください。さっそく一言ことわりを入れて二台のピアノを撮影。なお店内で時々、このピアノを使ったコンサートが開かれるとのこと、ここまで来るのは容易ではありませんが、機会に恵まれたらぜひ聴いてみたいものです。

 本日の四枚、三枚目がエラール、四枚目がプレイエルのピアノです。
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by sabasaba13 | 2014-04-08 06:35 | 中部 | Comments(0)
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