越後編(39):西福寺開山堂(13.3)

 まずは小出駅から二十分ほどで西福寺に到着。開山堂の上には鉄製の無粋で武骨で巨大な覆いがつけられていますが、パンフレットによると、1999(平成11)年に設置された、雪から御堂を守るための覆い屋根だそうです。豪雪地域の危険な雪下ろし作業をしてくれる人がいなくなった為とか。ちょっと切ない話ですね。とはいっても雪下ろしの過酷さを経験したことがない部外者、とても意見が言える立場ではありません。それでは拝観料を払って中へ入りましょう。渡り廊下を歩いて開山堂に入ると…茫然。天井、壁面、欄間、あらゆるところが見事な透かし彫りで埋めつくされていました。天井画のテーマは「道元禅師猛虎調伏の図」、修行中の道元禅師が虎に襲われそうになった時、竜神によって守られたという物語を題材にしたものだそうです。それにしても、その躍動感、迫力、迫真性には圧倒されました。どうやって彫ったのだろう、その超絶技巧は私の貧しい想像力では及びもつきません。これほど凄い彫り師がいたとは、迂闊にも不学にもまったく知りませんでした。歳をとるのもそう悪いことではありません。なおこの作品は、「雪深く、貧しい農村の人々の心のよりどころとなるお堂にして欲しい」という住職の要望を受けて、雲蝶が制作したそうです。
 拝観客は私一人、微かに聴こえる深々と降る雪の音、体を心地よく緊張させる凛冽な冷気、そして雲蝶の豊饒なる傑作。至福のひと時が過ぎていきます。おっそうだ写真を撮らねば、撮影は可能なのでしょうか。貼り紙を転記しておきます。
写真撮影について
 当寺では、開山堂内のみ写真ビデオ等の撮影をご遠慮頂いております。お堂の中は静かにお参りをする場所です。フラッシュの光やシャッター音がお参りする方のご迷惑になることが考えられます。また、ストロボ、フラッシュなどの強い光が度重なると、文化財に影響を及ぼすという専門家の指摘もあります。開山堂は特に閉切られた狭いお堂なので、このような理由で撮影をお断りしています。
 どうぞ、ご理解とご協力をお願致します。
 なかなかこうした論理的な注意書きにはお目にかかれません。それでは小生が置かれている状況および所持しているカメラの設定について検証してみましょう。お参りしているのは、私一人だけ。原則として、フラッシュ撮影をしないのが私の流儀。またシャッターは無音に設定してあります。ということは(39字削除)。
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 また「お願い」という興味深い貼り紙もありました。
 お願い(ガイドについて)
 当寺の案内人が行う無料ガイドと有料ガイドは、一グループの専用ではありません。ガイドはどなたが一緒に聞いていただいてもかまいません。
 時々、「私たちが頼んだガイドを一緒に聞かないでくれ!」と他の方に文句を言う人がいます。これは間違いです。誤解の無き様お願いします。お参りのすべての皆様が気持良く拝観できますよう、譲り合いや優しい気持ちを大切にいたしましょう。合掌
 「人間よ 分かち合え 譲り合え」、堀口大學の言葉が耳朶に響きます。"対価を支払って入手したものは絶対不可侵"という消費者マインドが、こうしたところにまで浸透しているのですね、病魔の如く。
 なお開山堂の向拝彫刻は写真撮影が可能、これだけでも雲蝶の超絶技巧の一端にふれることができます。

 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2014-07-14 06:35 | 中部 | Comments(0)
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