越後編(43):寶生寺(13.3)

 朝、目覚めてカーテンを開けると、泥鰌…ではなくてお天道様が出てきてこんにちは。やれやれ今日は好天に恵まれそうです。チェックアウトをして長岡駅のコインロッカーに荷物を預け、バスに乗って揺られること二十数分で関原三叉路に着きました。観光パンフレットの地図を片手に歩くこと数分で寶生寺に到着です。何の変哲もない普通のお寺さんですが、お目当ては木喰(もくじき)作の32体の観音像と自刻像です。まずはスーパーニッポニカ(小学館)から、木喰について引用しましょう。
 甲斐国西八代郡古関村丸畑に生まれ、22歳で出家、45歳のとき相模国大山で木喰観海に木喰戒を受けた。1773年(安永2)日本回国の願を発し、93歳で没するまで三十数年間を巡礼に終始し、その足跡は遠く北海道から九州の南端にまで及ぶ。その生涯は寺を建て、仏像を刻むなど、伝道一途であった。彼の造像は形式にとらわれない自由なもので、沈滞した江戸の彫刻界にあって初期の円空と並んで、彫刻としての純粋さをみることができる。作品には、太った円満な相の像が多く、俗に微笑仏などともよばれている。忿怒相のものでさえ、ユーモラスな感じを受ける像が多く、現在約300体の遺作が知られている。
 お寺にあった解説板によると、境内にあった大イチョウを見た木喰上人が「西国三十三観音」を彫らせてほしい」と住職に願い出たことがきっかけとのこと。87歳を迎えた上人晩年の秀作で、保存状態も良好。これは楽しみです。寺務所を訪れ、昨日参拝をお願いした者だと名乗ると、境内にあった保管庫にみちびかれました。
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 鍵があけられ戸が開かれると、そこには満面にこぼれるような笑みをたたえた観音さまたちが整然と並んでおられました。まるで世界をとろけさせてしまうような、微笑、微笑、微笑… ♪When you're smilin' When you're smilin' The whole world smiles with you♪ ビリー・ホリディの素敵な歌声とレスター・ヤングの快活なソロが耳朶をくすぐります。木喰上人は、この笑みで人々を、そして世界を救おうとしたのかもしれません。嗚呼、ぜひ写真におさめたい。しかし無情にも「撮影禁止」という貼り紙がありました。蛇の道は蛇…いや、入口のところでお寺の方がにこやかにこちらを見守っています。万事休す、しっかりと網膜に焼き付けるしかありませんでした。
by sabasaba13 | 2014-07-18 06:33 | 中部 | Comments(0)
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