越後編(47):柏崎刈羽核(原子力)発電所(13.3)

 いろいろとつっこみたくなる点があるのですが、四点にしぼって指摘しましょう。

①文章の全体に通奏低音の如く鳴り響く、安直で薄っぺらい調子は何なの?
 私には、「津波のせいで原発が壊れちゃった、そのうち何とかなるから許してね(できれば忘れてね)」としか聞こえませんね。人間が暮らす広大な地域を壊滅させて故郷を奪い、これから放射能によるさまざまな病苦が人々に襲いかかる恐れがある事態を惹起させておきながら、深甚なる反省や贖罪の気持ちがまったく伝わってこないし、義務感の"ぎ"の字も、責任感と正義感の"せ"の字も感じられません。東京電力経営陣の皆々様がたに、『物語 イタリアの歴史』(藤沢道郎 中公新書1045)で紹介されていた、西ローマ帝国初の皇帝ホノリウスを評した言葉を、熨斗をつけて進呈します。「決してばかではなく、保身と陰謀にかけてはなかなかの手腕を発揮したが、義務感と責任感と正義感をまったく持ち合わせていない人で、ローマ帝国がどうなろうと自分の身の安泰さえ確保されればそれで結構という態度を、露骨に示すことがたびたびあった」(p.13) はい、"ローマ帝国"を"日本"にして、"自分の身"の後に"東京電力"をつけくわえてください。

②事故の原因はわかったの?
 まず貴社がなすべきことは、一に原因究明、二に原因究明、三四がなくて、五に原因究明でしょう。深刻な事故が起こるたびに"想定外"ですませるのなら、日本が、いや世界がいくつあっても足りません。地震や津波に対する対策は十分になされていたのか、設計や構造や立地に問題はなかったのか、耐用年数を過ぎて脆弱になっていたのではないのか、何よりもいかなる自然災害にも耐えられる原発などあるのか。福島第一原発事故は、津波ではなく地震によって引き起こされたのではないかという疑惑もあります。

③本当の意味で事故を収束できるの?
 "放射性物質の放出を抑制することにより、避難されている方々の一日も早いご帰宅の実現"に全力で取り組む、という物言いも曖昧かつ無責任ですね。どれくらい抑制すれば、安全に帰宅できるのか、きちんと説明していただきたいものです。「放射性物質の放出が多少減ったら、住民を帰宅させて忘れてもらおう、後は野となれ山となれ」というのが本音なのかな。しかし事態は、われわれの想像をはるかに超えた深刻なものだと思います。例えば、「海から6メートルの井戸でも高濃度汚染水が確認された」(毎日新聞 2013.6.29)、「20分未満で死亡するような過去最高の放射線量が、屋外設備で計測された」(読売新聞 2013.12.6)といった記事を見る限り、収束には程遠いですね。

④福島の方々を救う気はあるのか?
 これについては、「ほとんどない」というのが本音でしょう。福島県健康管理調査によると、18歳以下の17万4千人を検診した結果、甲状腺癌「確定」が12人、「疑い」が15人だったそうです。100万人に一人といわれる子どもの甲状腺癌が、すでに155.2倍になっているのですね。(『DAYS JAPAN』2013.7) こうした事態に、東京電力が何らかの対策を打ち出したという話は寡聞にして聞いたことがありません。
by sabasaba13 | 2014-07-25 06:33 | 中部 | Comments(0)
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