オーストリア編(102):旅の終わりに(13.8)

 というわけで、オーストリア編、一巻の終わりです。やはり旅はいいものです。オーストリアの素晴らしい自然や文化遺産、戦争遺跡、建築を満喫することができました。アルプスの美しい山々、ハルシュタットの街、アム・シュタインホーフ教会、マウトハウゼン強制収容所、ザンクト・フローリアン修道院教会、ザルツブルク音楽祭、ケールシュタインハウス。
 と同時に、オーストリアの持つさまざまな顔にも触れられました。自転車を優遇し、核(原子力)発電所を拒否し、ファシズム支持とユダヤ人迫害という負の歴史に向き合う、あるいは忘却しようとする人びと。そしていろいろな方々との出会い。デュルンシュタインで出会った二人連れのロシア人女性、リンツのケバブ屋でお話をしたスロヴェニア出身のおにいちゃん、ユネスコで働く韓国人女性、シャーフベルク登山鉄道で出会ったポーランド人とオーストリア人のご夫婦、中国からの留学生、キングス・ケバブの旦那、ホーエ・ムートでお話をした地元ハイカーの老夫婦、ゼーフェルトで知り合った日本人とオーストリア人のご夫婦、道に迷っていたイタリアのご老人、そしてバスの車内で席をつくってくれたオーストリア人女性。甘いと言われれば返す言葉もありませんが、世界はこうした善意に満ちた普通の人びとで満たされていると思いたいものです。しかしナショナリズム、国境、国益、宗教などがからむと、たがいに憎悪し分断されてしまう私たち。きっと世界中のordinary peopleを分断させ孤立させることによって、何らかの利益を得ている輩がいるのだろうなあ。その国や地域独自の飲み物を互いに飲み交わし、香りや味を楽しみながら一息ついて冷静に話し合う。人間にはそうした叡智や文化があるはずだと信じたいものです。
 さて、来年はどこへ行こう。今のところ、ハイキング、鉄道、ル・コルビュジエをからめてのスイス旅行が有力です。乞うご期待。
by sabasaba13 | 2015-02-04 06:29 | 海外 | Comments(0)
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